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    ガルバ

    甘味。/konpeito

    TRAININGないものねだり、欲しがるばかりアシュクル
    本日の800文字
    欲しいと駄々を捏ねたところで手に入らないものはある。
     母に似た細い体躯。中性的な顔立ち。大剣を振るうには似つかわしくないそれに幾度も苦しめられた。父や兄、道場の門下生の彼らが身の丈ほどもある大剣を容易く扱うその姿に何度憧れただろう。何度、挫けただろう。
     それでもヴァンダールでは傍流である双剣術にしがみついたのは、ヴァンダール家の一員でありたいという意地だった。
    「あー。先に聞いておくが、なにがどうしてそうなった?」
     馴染みのある声で意識が引き上げられた。ソファに座ったまま声のほうに顔を向ける。
     アッシュだ。出先から戻ったらしい。コートスタンドに上着をかけた彼は不思議な顔をしていた。困っているのか、心配しているのか、むず痒そうな顔だ。
    「アッシュか。おかえり」
     外気で冷えた両手が頬に添えられた。口付けの予感についつい力んで唇を引き締める。唇を触れ合わせる、ただそれだけの行為で頭のなかを真っ白にされた。
    「ただいま。ふはっ。お前、本当いつになったら慣れんだよ。んで、どうした。それ、俺のシャツだろ?」
     クルトの座るソファに並んで腰を下ろしたアッシュが、肩に寄りかからせるように抱き 1000