Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    クルーウェル

    いなや

    MAIKINGジェイフロ

    クルエラ見たあとに最高のクルーウェルが見たくなって書いたやつ。双子まだ出てこない。未完によってただの講義記録になっている。あともう半分くらいある。
    結構毛だらけ犬灰だらけ「仔犬ども!」

    Mr.クルーウェルはなにをおいてもまずその一言から指揮を執る。
    しなる鞭の破裂音。
    教壇を踏み鳴らした高圧的な靴。
    制服がのろのろわらわら、一斉に席に着き始める地響き。
    至極真面目な最前層と、可能な限り後ろにいたい――そしてあわよくばバレず寝たい、そんな偉業はまず無理だが――層があるものだから不思議と中間あたりに隙間ができる。
    少し目立って、無難でソツないながらにやや当てられやすく、教師の印象に残る席。
    そんな空間の隣にアズールは滑り込んだ。すると、既に座っていたバイパーが無口に半身ほど隙間を空けたので、人魚はより嫌に笑んだ。バイパーはいつでも先んじて、集団のなかで絶妙なバランスを見定めるのが上手かった。アズールは彼のそういったところを気に入っていたし、活用できればとも思っていたし、こうして隙あらばあやかろうともしていた。そしてバイパーはアズールのことを毛嫌いしていた(つまりかの行為もなにもどれ席を作ってやろうなどという気遣いではなく、まぁそのような意味である)。
    3796

    kinu_kayanagi02

    DOODLEtwst/クルーウェル先生に東洋出身大人しめの仲良し文系同僚がいる話
    お世辞にも洒落ているとは言えない実験室の隅に、デイヴィス・クルーウェルは茶席をしつらえる。使い込んだテーブルに漂白済みのシーツを掛け、磁器の皿を並べ、上には軽くサンドイッチとスコーン、クロテッドクリームにベリーのジャム。茶葉はいつものブレックファスト、僅かにキーマンを混ぜるのがクルーウェルの拘りだ。東洋の血の濃い彼は、いつも多めにミルクを入れる。「お邪魔します」三時丁度に彼がドアを開けた。「ようこそ」即座に椅子から立ち上がってテーブルへ案内する。彼が約束の時間を違えたことはない。むしろ数分前には部屋の前で待機しているらしいので、こちらも数分前には準備を終え、大人しく椅子で待っていなければならない。気にせず入ってきて貰っても一向に構わないのだが、此方から声を掛けるのも無粋というものだろう。クルーウェルの方も普段より念入りに埃を払い、コーヒーの渋がついたビーカーを片付け、行きつけの名店から茶請けを取り寄せているのだから、彼に対してどうこう言えたものではない。互いに少しばかり、互いに対して気を遣っている。ただそれだけの話だ。「とても美味しいです」カップを一口傾けて彼が言った。「それは何より」答えて自分も味を確かめる。無事に香りが出せていたようで何よりだ。「クルーウェル先生の勧めてくださるお茶はいつも美味しいですから。先日いただいた茶葉も、故郷の母が喜んでおりましたよ。僕からもお礼を申し上げます」「別に、礼を言われるほどの事はしていない」「僕はいつもクルーウェル先生に感謝していますよ」「……相変わらず謙虚な奴め」溢すように呟いて、まだ熱い紅茶を流し込む。すみません性分です、と苦笑混じりの謝罪が返ってきた。「こんな僕ですから、あの頃は貴方とこうしてお茶を飲む日が来るなんて思ってもいませんでした」まあそうだな、とクルーウェルは応える。否定はしない。この学園で生徒をやっていた頃の自分は、教室で一人静かに本を読む少年など歯牙にもかけなかったろう。吹聴する気はないが、そういう学生時代だった。「あの頃の貴方は今よりずっとやんちゃで」「おい、まるで今も『やんちゃ』が続いているような言い方をするな」「おや、そう聞こえましたか」「そう聞こえるように言ったんだろう」名門校で古代魔法語学と詠唱を教えるほどの教師が、友人への言い回し一つを疎かにするものか。したとすればそれは意図的なものだ。「貴方が
    1071