Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ココロ

    pandatunamogu

    MAIKING『キミのココロ、ボクのキズ』の降ver.です。どんな気持ちで新とセフレ関係を続けていたのか、降ver.で丁寧にえがいていきたい。
    ボクのキズ、キミのココロ          1.

     自覚した途端、絶望的な失恋を覚悟せざるを得ない────そんな恋をした。

     思えばいつ頃、この絶望的な恋心を自覚したのか、その芽吹き時は曖昧だった。彼が元の姿を取り戻し、工藤新一として再会を果たした折は、『ようやくこれで彼も運命の恋人と幸せになれるのだな』と、確かに輝ける彼の未来と幸せを心から願っていた。
     だが、あまりに有能すぎる彼は、彼と同じく元の職務に戻り昇進を果たした降谷の組織にとって、なくてはならない存在であった。
     度重なる公安からの要請にも快く応じ、屈託のない笑みを惜しげもなく向けてくれる彼に、まるで乾き切ってひび割れた大地にじんわりとゆっくり浸透していく恵みの雨の如く、惹かれていったのだ。己の恋情を自覚した時には、もはや今更棄て去れないほど根深く根を生やしており、一度目の絶望を経験した。選りに選って、淡い憧れまじりの初恋以来となる二度目の恋が同性の、ひと回りも年下の、恋人持ちの少年だったのだから無理もない。
    1298