休日にルミナスクエアでリンちゃんとライトさんを見かけた
二人は仲睦まじい兄妹のようにも　恋人同士に見えなくもない
あのひとはあんな顔で笑うのか　知らなかった
僕が知っているのは情事の最中の泣きそうな顔や
意識を失った寝顔ばかりだ
ヤッてる以外の記憶がないってつくづく不健康な関係だな
僕と居たってあんな笑顔絶対しないんだろう
都合の良い時に使う便利な道具　お互いそういう認識のはずだ
それ以外の道なんて望むべくもない



「……ああ　男前が台無しじゃない　はいチーンして」
情事の後のぐずぐずになった顔にティッシュを差し出すと
抵抗なく拭かせてくれた

さっきまで僕に縋りついていた腕
僕の背中に爪を立てた指
手放したくないと思ってしまっている

部屋までノコノコ着いて行った俺が悪いのかも知れないが
たまにプライベートで食事する程度の取引先にそういう目で見られていた事に
押し倒されるまで気付かなかった俺は鈍感なんだろうか

押し倒したのはいいものの　どうしていいかわからないとか言うから
興が乗って教えてやったら
先にイった方が相手に従う賭けが始まり
情けなく初心者にボロ負けした俺は
相手の要求に従い　先日散々啼かされた現場に戻ってきたわけだ


「週一セフレ権？」

「そう　聞いてもらうお願いこれにしようと思って
週に一回抱かれに来てよ」

「週一ペースであんな目に合うのかよ　若いのは元気だな」

「優しくしてほしいなら対応するよ？
言っとくけど自分が不利な方向に煽ってるのライトさん本人だからね」

　最近、この家は変だ。
　とある街のマンションの一室で、この部屋に住み着くフォーゼたち、オガタとコイトは神妙な顔でお互いを見やった。
　何が変かという話だが、端的に言って静かすぎる。家主であるオガタというニンゲンは日中いないことがほとんどだが、その連れ合いであるところのコイトは辺りが暗くなる頃に現れることが多い。
　そして家主は口数が少なくこちらに話しかけてくることも少ないが、連れ合いの方は色々と賑やかだし盛んに話しかけてくる。つまり、何故この部屋が静かなのかというと、つがいであるはずの家主の連れ合いが最近ちっとも来ないからなのだ。

「……ゆゆしきじたいだ」
「そうだな」
「なぜコイトはここに来ないんだ」
「……あいつ、ふられたんじゃねえのか」

Let me know　――バチが当たったんだと、思う。
　分不相応なことを望んだから。
　己の立場を弁えなかったから。
「最悪だ……」
　言葉と共に吐き出された息は白く、夜に溶ける。視界の隅にチカチカと点滅している明かりが入るのは、クリスマスのイルミネーションだろう。
　街は人通りが多かった。小さな子供連れの家族、仕事帰りのビジネスマンたち、そして楽しそうに笑って腕を組むカップル。
　今夜は、特別な夜だ。
　クリスマスイブ。聖夜。
　宗教的な理由なんて必要ともせず、人々が浮かれる夜。
　平日とはいえ、年に一度のこの夜を楽しむ者は多いらしい。あちらこちらの店から流れるクリスマスソングが、寒い夜を彩っている。
　そんな中で新一は一人、コートのポケットに手を入れたまま佇んでいた。