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    タレ

    k0510_o0720

    DONEフォロワーさんのイラストを元に書いたレイチュリ
    待つのがそんなに嫌では無い🧂の話
    今、君の隣にいる 事実、腹いせではあった。
    『ごめん、撮影が押してて』
     今月に入って四度目になる、全く同じ文言。それを見るやいなやすぐに是を返せば、既読マークだけがついて音沙汰がなくなった。それがだいたい一時間前だろうか。集合場所にずっと立っているのも馬鹿らしいからとカフェに移動したけれど、一人で飲むコーヒーは何とも味気ない。話し相手が居ないせいで持参した本に集中してしまって、読み終えてしまいそうなそれとは裏腹にカップの中身はまだ半分以上残されていた。
    『今終わった。どこ? そっち行く』
     最後のページ、奥付までしっかりと読み終えて、ついにやることがなくなってしまった時に入った通知。緑色の無地の画像という、傍から見ればスパムアカウントとも思えそうな彼のアイコンからしゅぽん、とそんな言葉が吐き出されていた。そのアイコンがなんの詮索もされないから丁度いいのだと聞いたのはいつだっただろう。随分と前だったように思う。いっそ初対面だったのかもしれない。アイコンひとつに意味を探すなんて変な人。そう言われて、笑われて、思えば第一印象はお互いにあまり良くなかった。
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