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    テンペスト

    hanato1078

    DONE不思議な夢の中で、二年前の零(英)くんに会う零英の話。
    ※キャラがキャラの首を絞める/流血表現/微グロ表現があります。終始シリアスですが最後はハッピーエンドです。
    ※エレメント前提。カプ未満くらいの零英です。
    ※時系列はあいらくんが来る前。テンペストあたりです。

    新イベントが始まる前にどうしても上げたくてガーッと書いたので後々修正入れてpixivに上げます。零英両面イベおめでとう🌸
    【零英】拝啓:境界線の向こうへ 一切の電気が消え、真っ暗になった部屋の中は、また重たい空気が漂っている。肺を親指の付け根で押し潰されているような心地だった。
     ──あぁ、嫌な空気じゃな。
     零は眠れない瞳をゆっくりと開けると、寝返りを打った。右を向くと、無機質な冷たい白い壁が目に入る。暗闇に目が慣れたのだろうか、それは普段見ているそれよりも、酷く味気なく見えた。

    「っは……っ、……」
     直後。壁を向いた零の背後から、再び誰かの息遣いがする。それがたった一人の同室相手の英智であることは、もはや確認するまでもなかった。
     英智と同じ部屋で過ごす中で零が気づいたのは、英智はたまに寝ている時に「こうなる」ということだった。

     この頃の英智は、かねてからの夢が叶った、とでも言いたげに、春らしい薄いピンク色と明るいオレンジ色がほんのりとのった頬に綺麗な笑みを浮かべていた。ピンクの花びらが散り、期待と希望に満ちた春が姿を変えつつあるこの季節にふさわしいその笑みは、生気に満ち溢れていて見目麗しかった。
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    han_bun_dead

    DOODLEイギリスの打ち上げ花火は秋冬の風物詩と聞いて浮かんだ話です。コウ様14歳時空なので、テンペスト前として解釈を歪めています。テンペスト後、お盆にコウ様の元にレイジさんが現れてくれたら一緒に花火を見てほしいなあ。敦豪と花火に行く続編もいつか書きたい。
    特等席で待っていて福岡支部エントランスの一角を飾る地域情報掲示板。今日貼りだされたばかりの一枚のチラシを視界に入れたコウは思わず足を止めた。
    「花火大会……」
    『第十八回納涼花火大会』の文字が大きく踊るそのチラシに記載された日時は約2週間後、七月末の土曜日だ。
    「連れて行ってやろうか?」
    「っ、敦豪」
    「日本の夏は初めてだろ」
    突然声をかけられ驚くコウの隣に立った敦豪が、同じようにチラシを見つめる。
    「別に行きたいわけじゃない」
    「ならどうして見てたんだよ」
    「こっちでは夏に花火が上がるのか、と思って」
    「花火といや夏だろ。イギリスは違うのか?」
    「イギリスでは、花火が打ち上がるのはだいたい秋か冬だった」
    言って、コウは口を閉ざした。


    イギリスでは十一月に各地で打ち上げ花火を鑑賞できる。しかしコウの生まれ育った村は、花火の光どころか音さえ届かなかった。
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