Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    トカラ

    アンドリュー(鶏)

    DONEⅢ本編5年くらい前の赤毛軍師兄弟の話。
    シーザーから見た兄の話と、アルベルトから見た弟の話の2本立て。
    実在する某超有名推理小説が作中に出てきますが、ゲーム本編にもロミジュリとかが脚本として出てくるのでいいかなと思ってやりました。細かいことは気にしないスタンスで見ていただけると嬉しいです。
    いつか来る瞬間のためにⅠ.いつか来る瞬間のために 目の前の本を開くと黴臭い埃の匂いがした。鼻の奥と喉がむずがゆくなって、ごほごほとむせ返る。舞い上がった埃が窓から射し込む午後の陽光に白く照らされていた。

     シーザー・シルバーバーグは生まれ育った家の自室でひとり机に向かっていた。目の前には先ほど開いた一冊の本と、広げられた一枚の紙。開いたままのインク瓶の隣には、なかなか書くべきことが思いつかずに投げ出されたペンが転がっている。開いた本から舞い上がった埃に出鼻をくじかれたシーザーだったが、めげずに開いた本を文字を追い始める。ある国の興亡が記された何十年も前の歴史書はところどころページが黄ばんでいて、書かれている言葉遣いもそれはそれは古めかしいものだ。普段の彼なら望んで手にしないようなその本は、彼の家庭教師が手渡してきたものだった。指で一行ずつ、ところどころ掠れた文字を辿る。が、開いたページの次もめくらないうちに十二歳の少年は椅子の背に勢いよくもたれかかった。
    24925

    com_8Ta_

    DONE※成立if
    ※同棲済み

    リクエストから頂いた『同棲済の旗主で旗野くんの手料理は良いんだけど、量が少なく裏でこっそりカップ麺を食べていて、それを恥ずかしくて言えないお兄さん』のお話です。
    お兄さんがあんまり恥ずかしがってなくて申し訳ないですが、ほのぼのは書いていて楽しかったです。
    リクエストありがとうございました!
    【旗主】質も量も愛情も欲しいのです.
    「此処の棚に置いてあったカップ麺のストック知りません?」
    「……知らないけど?」
    「そうですか」
    微塵の疑惑も持たず俺の返答に納得した旗野くんは、再びパントリーの中を漁りながら「まだ残ってると思ったんだけど」と独りごちた。
    一方、リビングのソファでまったりと寛いでいる態の俺の心臓はバックバクである。手元のスマフォ画面の可愛らしいお猫様の動画よりも、キッチンにいる旗野くんの言動が気になってしまって仕方ない。
    まさかこんなに早く気付かれるとは。昨日こっそり食べた分を直ぐに買い足せなかった俺の落ち度だ。
    俺の食の好みを把握している優秀な恋人は、新作や珍しいスープのカップ麺を見掛ける度に甲斐甲斐しく購入してくるワケだが、おかげで補充の為に同じものを手に入れるのに一苦労するのである。旗野くんにバレないうちに買い足すのなら一般的に入手しやすいものを食べればいい話なのは分かっている。俺もそう思う。だとしても、ヨーグルトトマトチゲラーメンは気になるだろ。手が伸びちゃうだろ。俺は悪くない。
    2994