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    そのこ

    @banikawasonoko

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    文責 そのこ

    以下は公式ガイドラインに沿って表記しています。
    ⓒKonami Digital Entertainment

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    そのこ

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    ビクフリ。ちょっかいかけるビクトールさんとからかわれるフリックのやつ。

    #ビクフリ
    bicufri

    2025-05-26


    「いつ帰ってくるんだ?」
     自分はまだベッドに転がったまま、身支度をするフリックに聞いた。そこここに薄い傷跡が残る肌が、洗いざらしの服に隠されていく。何にも残ってねえなあ。ベッドを共にしたのはもう何週間も前の話で、それに普段から不満を抱えているというわけでもないのだが。
    「一週間ぐらいかかるから……」
     日付を聞いて、なんだか本当に、心の底から困ってしまった。
     行先も教えてくれない軍師の任務だ。どうせ厄介ごとなんだろう。人が動き出すような時間にしれっといなくなって、さくっと帰ってくる。まったく良いように使ってくれるもんだ。
     手際よく荷物をまとめ、昨日書いたらしき引継ぎの書類の確認をする。シャツから伸びる細い首筋とか、適当にまくった袖から見える腕とかそういうの。
     触りたいな。
     なんでこのタイミングなのか、自分でもよく分かんねえ。体を起こして、名前を呼ぶ。なんの警戒もしていないフリックは、書類を持ったまま無防備に近寄ってきた。
    「お前んとこの部隊の話だが」
     仕事の話を始めようとするフリックの腰に腕を回して抱き寄せる。固い。あと細い。ぐぅと腹に顔をうずめれば、くすぐったげな笑い声が上がった。
     柔らかい朝の光が差し込んできて部屋は明るいし、外からは元気のいい訓練の声が聞こえ始めている。人が活動を始める時間帯だ。こいつだって今から仕事で、一週間も帰ってこない。
    「抱きてえ」
     体に触れて、熱を上げて、それを分かち合いたいという欲望がある。吐き出すだけならお姉ちゃん達でいいんだ。
    「なにを朝から」
    「朝でも良いだろ。抱きたい。気持ちよくしてやるから」
    「なんだその言いぐさ」
     フリックは自分の腰に回った俺の手を引きはがそうとするけれど、単純な力比べで勝てるはずがないだろう。フリックの手をものともせずに、腰から尻にかけて撫でまわせば明らかにフリックが眉根を寄せたのが分かった。見えはしないんだけど、そう言う気配がした。
     固くて、ちゃんと鍛えられてて、俺よりちゃんと強いこいつが、俺に貫かれて甘ったるい声を上げるのが聞きたい。胸元まで真っ赤になっているところが見たいし、青い目をすがめて俺を愛おし気に見てくるのも見たい。あったかくて、気持ちよくて、かわいい様は他の何で替えが効くものか。
     服の上から肌をもそもそ撫でまわす。
     フリックが呆れたようにため息をついた。引きはがすのは諦めたのか、ぺちぺちと手を叩いてくる。
    「仕事だからダメだ」
     そんなことは分かっている。もう少し時間があると知っているのを良いことに、ぎゅうぎゅう抱き寄せて、頭をぐりぐり押し付ける。ぐえ、とおかしな声と子供に対するような柔らかな窘めの声が上がった。
    「お姉ちゃんとこでも行けば?」
    「お前が良いんだよ」
     押し付けた肌の上のほうで、心臓がちょっとだけ早くなる。少しだけ離れて顔色を伺えば、困ったように眉を寄せ目元を薄く朱色に染めたフリックがあらぬほうを見ていた。
     もうちょっと本気で押したら折れてくれそうだなこいつ。
     抱きたいのは本当。腹の中に渦巻く欲情は薄くなりはすれ消えはしないだろう。一週間も離れるのだから、と思うと惜しくなるなど俺も大概現金だ。
     でも仕事に出る時間は差し迫っている。軍師にどうこう言われるのも、それでお互いの評価が下がるのも馬鹿らしい。
    「一週間だな」
     ゆっくりと体を解放する。名残惜しくて、掌で肌をなぞる自分の欲深さには呆れるばかりだ。フリックはひどく安心したように息を吐き、目元をぐいと拭った。そんなことしても、あんまり変わんねえぞ。
    「待ってるから。早く帰ってこい」
     肌をなぞる手に力を込めて、ベッドに座った俺に身を寄せるよう誘導する。赤い目元と唇に触れるだけのキスをして、そのまま手を離した。
     フリックは何か言いたげにいくらか口を動かして見せたが、はっきりとは言わずにわさわさ髪をかき回す。
    「かわいいな」
     けらけら笑えば、足くせの悪いフリックは躊躇いなく俺のベッドを蹴り飛ばしてくる。
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