オタレイ「どういうつもりですか」
「良く似合っている」
「答えになってねぇ」

　脚を組みながらソファに座るオーターの手にあるのは、世間で話題となっている女児向けの着せ替え魔法具だ。色々な服の描かれたカードが付属していて、魔法具にカードを入れレンズを対象者に向けると指定の服装に変わるというもの。変身魔法を元にしているだけあって効果が切れても裸になることはない。だって子供向けの玩具だし。
　それをなぜオーターが持っているのかと言えば、興味を惹かれたから帰りに買ってきたと。なぜかプレゼント用に包装紙で包まれたと、不思議そうな顔をしながらビリビリと雑に破いた包み紙を放り投げた姿はまだ記憶にも新しい。砂の神杖が女児用玩具をまさか自分用に購入するとは、店員も思わないだろう。とにかく噂にならなくて良かったなと思いながら、レインは脚に纏わりつく長いスカートを捲り上げた。

「誤解を招くといけないから、今の気持ちを正直に、且つ丁寧に述べるよ。…これが教師として生徒を思う庇護欲のそれなのか、親や兄が抱く情の類なのか。…はたまた、それとは全く別物なのか、私には判別できないのだが、とにかく、その…どうにもキミを愛おしく感じるようになってしまったんだ」
「……！」
　きまりが悪そうに俯き、静かな想いを吐き出すサイラスを前に、オフィーリアは目を丸くした。身体は硬直し、息をするのも忘れる。心臓だけが、かつてないほどの勢いで拍動していた。
　サイラスは少しだけ目線を上げ、我が生徒と同年代の彼女を見た。これでもかというほど頬を紅く染める彼女の、なんと可愛らしいことか。少なくとも、この曖昧すぎる告白を嫌がられていないことは察した。