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    ペルセウス

    ひー@hi_5106

    DONE「いつかは恋人」千空×司
    アメリカへ向かうペルセウス号での一幕。
    千司webオンリーイベント『賢者と旗手を結ぶ糸』展示作。
    いつかは恋人 アメリカへと向かう船で、司の定位置といえば甲板だった。バトルチームへ稽古をつけたり、荷物を運んだり、筋トレをしたり。何をしているかは様々だったが、とりあえず司を探している時は甲板に向かえばそのうち会うことができた。忙しい筈の千空と日に何度も顔を合わせることができるのも、司が動線の途中である甲板をうろうろしているからに他ならない。そう、司は考えていた。
     無事に航路が決定し、航海は順調に進んでいる。心地よく吹く風がペルセウスを押し進め、帆は絵画のように美しく膨らんでいた。真水が満タンに入った樽を両手に抱えた司がキッチンへと向かう途中、何やらガチャガチャとガラスがぶつかる音を響かせながら歩く千空と行き合った。樽を抱えて幅をとる司がすれ違う為に横を向いて立ち止まると、千空はそのまますれ違うのではなく足を止めた。ビーカーが詰まった木箱が重いのなら運ぶのを代わろうと、司はすぐそこだった目的地へ足早に入った。フランソワに一声かけてから両手に持っていた樽を置いて、これで進行中のタスクがなくなったとキッチンへの往復を待っていた千空に声をかける。
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    mame

    TRAINING千ゲ(宝島帰還中、ペルセウスにて)白い髪が沈む夕日でうすきはだ色に透けていた。眼下に広がる波の動きと連動してゆらゆらと揺れている。あの柔らかそうな髪は、潮風で軋むことはないのだろうか。
     そもそも目線の先にあるのはツートンカラーと言う不思議な髪だ。髪の毛の染め粉など千空は作っていないし、作り方を指南したこともないので科学王国の人間で染めてる人間は千空が把握している限りではいない。大体千空の記憶にあるクソみたいな心理本の表紙といま現在目に映っている髪の毛は違うわけで──石化前最後にテレビを通して見たときはおそらく現在と一緒だ。
     出会って年単位になるくせに、本当に今更ながらどういうわけなのか気になってきて、しかしおそらく別にいま話を聞き出すことでもないこともわかっていて、千空は小さく舌打ちをした。まあ、そのうち。気になることは答えを導き出すところまで持っていかなければ気持ち悪いので。急ぎではまったくないが、そのうち。多分近々。
     そんなことを思考の隅で考えながら、爪先をその背中に向けて歩を進める。
    「落ちるなよ、メンタリスト」
     落下防止柵にである手すりに両肘をついて夕日を眺めているらしい藤色の背中に声をかけた。
    「だい 3776