ペルソナ3
mitsuhitomugi
DONE天田のクリスマスの話です。大遅刻ですが10の位がまだ2の間に完成できてよかったです。よくねえ。僕とサンタクロース その日の教室はいつも以上に騒がしかった。
「なんか全然頼んだのと違うプレゼント来たんだけど!」
「サンタの手紙がお父さんの字そっくりでさ〜」
「ゲーム貰えたけど電池入ってなくてプレイできなかった……」
今朝教室に入った瞬間に聞こえてきたのはそんな話ばかりで、クラスメイト達は一日ずっとこの調子だ。というか、十二月に入ってからずっとクラスの話題の中心はクリスマスだった。そのピークが今日というだけで。
冬休み目前という時期も相まって良くも悪くも落ち着かない児童たちの輪の中で、天田は一人浮かない顔をしていた。
帰りの会が終わるや否や、クリスマス談義に勤しむ周囲を横目に天田は一人そそくさと帰り支度を始めた。
6367「なんか全然頼んだのと違うプレゼント来たんだけど!」
「サンタの手紙がお父さんの字そっくりでさ〜」
「ゲーム貰えたけど電池入ってなくてプレイできなかった……」
今朝教室に入った瞬間に聞こえてきたのはそんな話ばかりで、クラスメイト達は一日ずっとこの調子だ。というか、十二月に入ってからずっとクラスの話題の中心はクリスマスだった。そのピークが今日というだけで。
冬休み目前という時期も相まって良くも悪くも落ち着かない児童たちの輪の中で、天田は一人浮かない顔をしていた。
帰りの会が終わるや否や、クリスマス談義に勤しむ周囲を横目に天田は一人そそくさと帰り支度を始めた。
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DONE10月4日のその後の真田明彦の話です。ちなみに死亡シーンはフェス以前のゲーム本編準拠です。10月5日、午前。 支えていた手を離れて、よろめきながら一歩、二歩。それから倒れた。最後に、これでいい、と言った。
真田の目の前で、友人が死んだ。家族同然の仲だった。何十分か、あるいは数秒か、立ち尽くしたまま真田は動けなかった。
山岸の啜り泣く声がする。順平の呼吸が震えている。当たり前だ。目の前で人が死んだのだ。コロマルのペタペタという足音と、アイギスの作動音が重なる。帰るのかと思ったが、どうやらもう動かなくなった荒垣の元へ歩み寄っているらしい。岳羽もリーダーも黙り込んだまま一言も喋らない。いや、何も言えないのだろう。肩に何かが触れる感覚で、美鶴が肩に手を置いたのだと気づいた。もう帰ろう、と言外にその目が訴える。真田はゆっくりと首を横に振った。
5935真田の目の前で、友人が死んだ。家族同然の仲だった。何十分か、あるいは数秒か、立ち尽くしたまま真田は動けなかった。
山岸の啜り泣く声がする。順平の呼吸が震えている。当たり前だ。目の前で人が死んだのだ。コロマルのペタペタという足音と、アイギスの作動音が重なる。帰るのかと思ったが、どうやらもう動かなくなった荒垣の元へ歩み寄っているらしい。岳羽もリーダーも黙り込んだまま一言も喋らない。いや、何も言えないのだろう。肩に何かが触れる感覚で、美鶴が肩に手を置いたのだと気づいた。もう帰ろう、と言外にその目が訴える。真田はゆっくりと首を横に振った。
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DONE真田明彦の誕生日小説です。今回はなんとか遅刻せずに済みました。高一設定、捏造ありなのでご注意ください。
誕生日、いつも通りの朝 普段通りの時間に目を覚ました。
ベッドから下り、カーテンを開く。日の出にはまだ早いらしく、部屋の明るさは大して変わらなかった。そのまま鍵に手をかけ、窓を開けて換気をする。外から侵入してきた冷たい風から逃れるように、窓から少しだけ離れた。ふと学習机の上に置かれたデジタル時計が目について、何とは無しに手に取って持ち上げる。非常にシンプルな造りをした四角いそれは、時刻は午前5時、日付は9月22日を表示していた。
(ああ、そういえば今日だったか)
いまいち覚醒し切れていない頭で、真田はぼんやりと自分の誕生日を認識した。子どもの頃は日がな一日そわそわと落ち着かない気持ちで過ごしていたものだが、16回目ともなれば特別感も薄れてくるらしい。
6457ベッドから下り、カーテンを開く。日の出にはまだ早いらしく、部屋の明るさは大して変わらなかった。そのまま鍵に手をかけ、窓を開けて換気をする。外から侵入してきた冷たい風から逃れるように、窓から少しだけ離れた。ふと学習机の上に置かれたデジタル時計が目について、何とは無しに手に取って持ち上げる。非常にシンプルな造りをした四角いそれは、時刻は午前5時、日付は9月22日を表示していた。
(ああ、そういえば今日だったか)
いまいち覚醒し切れていない頭で、真田はぼんやりと自分の誕生日を認識した。子どもの頃は日がな一日そわそわと落ち着かない気持ちで過ごしていたものだが、16回目ともなれば特別感も薄れてくるらしい。
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MAIKING風花の話 キリの良いところまで書けたら都度貼り付けていく予定巌戸台の駅前商店街、その一階に佇む年季の入った古本屋は、風花の密かなお気に入りスポットだった。
経営している老夫婦はいつも穏やかで優しいし、本の虫という名前も可愛らしい。何より品揃えが豊富で、学生の味方の参考書から随分前に絶版になった幻の本まで置いてある。
所狭しと並ぶどころか棚に入り切らずに机に平積みされている本もあって、それを見るのもまた楽しかった。自分の未知の世界がまだまだ広がっていることを実感すると、風花の心は高揚感でほんのりと色づくのだった。
(最近はついネットばかり見ちゃうけど、こういうのも大事だよね)
父親の影響で昔から機械に関心があった風花は、この年頃の女子にしては機械関係に詳しかった。学生寮の自室には基板やら愛用のはんだごてやらが置いてあるし、情報集めのために自前のノートパソコンを使うことはもはや日課になっている。やろうと思えば壊れたデータの修復やハッキングだってできてしまうし、実際にそのスキルを見込んで頼みごとをされたこともあった。
5216経営している老夫婦はいつも穏やかで優しいし、本の虫という名前も可愛らしい。何より品揃えが豊富で、学生の味方の参考書から随分前に絶版になった幻の本まで置いてある。
所狭しと並ぶどころか棚に入り切らずに机に平積みされている本もあって、それを見るのもまた楽しかった。自分の未知の世界がまだまだ広がっていることを実感すると、風花の心は高揚感でほんのりと色づくのだった。
(最近はついネットばかり見ちゃうけど、こういうのも大事だよね)
父親の影響で昔から機械に関心があった風花は、この年頃の女子にしては機械関係に詳しかった。学生寮の自室には基板やら愛用のはんだごてやらが置いてあるし、情報集めのために自前のノートパソコンを使うことはもはや日課になっている。やろうと思えば壊れたデータの修復やハッキングだってできてしまうし、実際にそのスキルを見込んで頼みごとをされたこともあった。