ペルソナ3
mitsuhitomugi
DONE3月5日には間に合わなかったし言うほど3月5日に寄せた話でもない、後輩達の卒業を祝う美鶴の話です。スターチス その日中に終えねばならない粗方の仕事を片付け、ふうと息を吐く。するとふっと力が抜けて、こんなにも肩に力を入れていたのかと美鶴はようやく気が付いた。
ここ暫くは公安と共同での非公式シャドウ制圧部署の設立及び始動に向けた各所への調整、交渉、加えて各地に出現したシャドウの対処など、やるべきことが隙間なく詰まっていて休む暇がほとんど無い。当然、仕事で手抜きなどするつもりは毛頭無いが、やはり疲労は相応に溜まってしまうものである。
気分転換に紅茶でも淹れよう。そう思い立ち席を立った時、窓から差し込む夕陽が目に入った。時計を見やると、時刻はそろそろ18時になろうかという頃だった。
ほんの少し前までは、この時間になるととっくに陽は落ち切っていた気がする。春というのはこうも知らぬ間に訪れているものだったか。大人になると時の流れが早くなる、とは聞いたことがあるものの、いざ実感すると何かに置いて行かれてしまったような寂しさがあった。それはきっと、1年前まで寮で共同生活をしていた仲間達を想う懐かしさと一体の感情なのだろうと美鶴は思う。
4118ここ暫くは公安と共同での非公式シャドウ制圧部署の設立及び始動に向けた各所への調整、交渉、加えて各地に出現したシャドウの対処など、やるべきことが隙間なく詰まっていて休む暇がほとんど無い。当然、仕事で手抜きなどするつもりは毛頭無いが、やはり疲労は相応に溜まってしまうものである。
気分転換に紅茶でも淹れよう。そう思い立ち席を立った時、窓から差し込む夕陽が目に入った。時計を見やると、時刻はそろそろ18時になろうかという頃だった。
ほんの少し前までは、この時間になるととっくに陽は落ち切っていた気がする。春というのはこうも知らぬ間に訪れているものだったか。大人になると時の流れが早くなる、とは聞いたことがあるものの、いざ実感すると何かに置いて行かれてしまったような寂しさがあった。それはきっと、1年前まで寮で共同生活をしていた仲間達を想う懐かしさと一体の感情なのだろうと美鶴は思う。
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DONE天田のクリスマスの話です。大遅刻ですが10の位がまだ2の間に完成できてよかったです。よくねえ。僕とサンタクロース その日の教室はいつも以上に騒がしかった。
「なんか全然頼んだのと違うプレゼント来たんだけど!」
「サンタの手紙がお父さんの字そっくりでさ〜」
「ゲーム貰えたけど電池入ってなくてプレイできなかった……」
今朝教室に入った瞬間に聞こえてきたのはそんな話ばかりで、クラスメイト達は一日ずっとこの調子だ。というか、十二月に入ってからずっとクラスの話題の中心はクリスマスだった。そのピークが今日というだけで。
冬休み目前という時期も相まって良くも悪くも落ち着かない児童たちの輪の中で、天田は一人浮かない顔をしていた。
帰りの会が終わるや否や、クリスマス談義に勤しむ周囲を横目に天田は一人そそくさと帰り支度を始めた。
6367「なんか全然頼んだのと違うプレゼント来たんだけど!」
「サンタの手紙がお父さんの字そっくりでさ〜」
「ゲーム貰えたけど電池入ってなくてプレイできなかった……」
今朝教室に入った瞬間に聞こえてきたのはそんな話ばかりで、クラスメイト達は一日ずっとこの調子だ。というか、十二月に入ってからずっとクラスの話題の中心はクリスマスだった。そのピークが今日というだけで。
冬休み目前という時期も相まって良くも悪くも落ち着かない児童たちの輪の中で、天田は一人浮かない顔をしていた。
帰りの会が終わるや否や、クリスマス談義に勤しむ周囲を横目に天田は一人そそくさと帰り支度を始めた。
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DONE10月4日のその後の真田明彦の話です。ちなみに死亡シーンはフェス以前のゲーム本編準拠です。10月5日、午前。 支えていた手を離れて、よろめきながら一歩、二歩。それから倒れた。最後に、これでいい、と言った。
真田の目の前で、友人が死んだ。家族同然の仲だった。何十分か、あるいは数秒か、立ち尽くしたまま真田は動けなかった。
山岸の啜り泣く声がする。順平の呼吸が震えている。当たり前だ。目の前で人が死んだのだ。コロマルのペタペタという足音と、アイギスの作動音が重なる。帰るのかと思ったが、どうやらもう動かなくなった荒垣の元へ歩み寄っているらしい。岳羽もリーダーも黙り込んだまま一言も喋らない。いや、何も言えないのだろう。肩に何かが触れる感覚で、美鶴が肩に手を置いたのだと気づいた。もう帰ろう、と言外にその目が訴える。真田はゆっくりと首を横に振った。
5935真田の目の前で、友人が死んだ。家族同然の仲だった。何十分か、あるいは数秒か、立ち尽くしたまま真田は動けなかった。
山岸の啜り泣く声がする。順平の呼吸が震えている。当たり前だ。目の前で人が死んだのだ。コロマルのペタペタという足音と、アイギスの作動音が重なる。帰るのかと思ったが、どうやらもう動かなくなった荒垣の元へ歩み寄っているらしい。岳羽もリーダーも黙り込んだまま一言も喋らない。いや、何も言えないのだろう。肩に何かが触れる感覚で、美鶴が肩に手を置いたのだと気づいた。もう帰ろう、と言外にその目が訴える。真田はゆっくりと首を横に振った。
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DONE真田明彦の誕生日小説です。今回はなんとか遅刻せずに済みました。高一設定、捏造ありなのでご注意ください。
誕生日、いつも通りの朝 普段通りの時間に目を覚ました。
ベッドから下り、カーテンを開く。日の出にはまだ早いらしく、部屋の明るさは大して変わらなかった。そのまま鍵に手をかけ、窓を開けて換気をする。外から侵入してきた冷たい風から逃れるように、窓から少しだけ離れた。ふと学習机の上に置かれたデジタル時計が目について、何とは無しに手に取って持ち上げる。非常にシンプルな造りをした四角いそれは、時刻は午前5時、日付は9月22日を表示していた。
(ああ、そういえば今日だったか)
いまいち覚醒し切れていない頭で、真田はぼんやりと自分の誕生日を認識した。子どもの頃は日がな一日そわそわと落ち着かない気持ちで過ごしていたものだが、16回目ともなれば特別感も薄れてくるらしい。
6457ベッドから下り、カーテンを開く。日の出にはまだ早いらしく、部屋の明るさは大して変わらなかった。そのまま鍵に手をかけ、窓を開けて換気をする。外から侵入してきた冷たい風から逃れるように、窓から少しだけ離れた。ふと学習机の上に置かれたデジタル時計が目について、何とは無しに手に取って持ち上げる。非常にシンプルな造りをした四角いそれは、時刻は午前5時、日付は9月22日を表示していた。
(ああ、そういえば今日だったか)
いまいち覚醒し切れていない頭で、真田はぼんやりと自分の誕生日を認識した。子どもの頃は日がな一日そわそわと落ち着かない気持ちで過ごしていたものだが、16回目ともなれば特別感も薄れてくるらしい。