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    mitsuhitomugi

    @mitsuhitomugi

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    mitsuhitomugi

    DONE3月5日には間に合わなかったし言うほど3月5日に寄せた話でもない、後輩達の卒業を祝う美鶴の話です。
    スターチス その日中に終えねばならない粗方の仕事を片付け、ふうと息を吐く。するとふっと力が抜けて、こんなにも肩に力を入れていたのかと美鶴はようやく気が付いた。
     ここ暫くは公安と共同での非公式シャドウ制圧部署の設立及び始動に向けた各所への調整、交渉、加えて各地に出現したシャドウの対処など、やるべきことが隙間なく詰まっていて休む暇がほとんど無い。当然、仕事で手抜きなどするつもりは毛頭無いが、やはり疲労は相応に溜まってしまうものである。
     気分転換に紅茶でも淹れよう。そう思い立ち席を立った時、窓から差し込む夕陽が目に入った。時計を見やると、時刻はそろそろ18時になろうかという頃だった。
     ほんの少し前までは、この時間になるととっくに陽は落ち切っていた気がする。春というのはこうも知らぬ間に訪れているものだったか。大人になると時の流れが早くなる、とは聞いたことがあるものの、いざ実感すると何かに置いて行かれてしまったような寂しさがあった。それはきっと、1年前まで寮で共同生活をしていた仲間達を想う懐かしさと一体の感情なのだろうと美鶴は思う。
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    mitsuhitomugi

    DONE正月って言っても許される期間の内に書き上げたい
    〈追記〉
    15日までは正月らしいのでセーフ!
    俺たちの正月年が明けて二回目の昼が来た。
    今年の正月は例年よりもずっと陰鬱で辛気臭くて、世間ではやれ終末だやれ救済だといった言葉が人々の間で飛び交っている。なんだか気味の悪いカルト宗教なんかも流行しているらしく、ただでさえポイ捨てが多い街中には不気味なチラシがあちらこちらに貼られていた。普段なら日が暮れるまで友人と遊ぶなり一人でぶらつくなりするのだが、気温のせいだけではないうすら寒さに耐えかねて早々に寮へと戻ってきてしまった。
    「……自己責任、か」
    扉に手を掛けたまま一歩立ち止まる。絶対に避けられないという滅びに立ち向かう決心をしたのは僕達特別課外活動部で、「逃げない」と最終的な決断を下したのは他でもない僕自身だ。まさか日常までもがこんな風に侵されてしまうだなんて予想もしなかったけれど、これが「滅び」が近づいている証だというのなら、僕達はこれを乗り越えていかないといけない。今朝も早くから「初売りに行ってくる」と意気揚々と出かけて行った女性陣を思うと、リーダーの自分が弱気になっていてはいけないと叱咤されるような気分だ。
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