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    マーシャ

    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーが精神病院に入院しているマーシャ・ライリーの証言を聞く回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります
    9 マーシャ・ライリーの証言によると、6歳になるまでのリサ・ベイカーには持病もなく、木登りをするほど元気な子供だったらしい。それがある日、急に頭が痛い、胸が苦しいと言うようになったのだそうだ。当時のマーシャは、レオの新しい工場――彼女の元夫は同じ頃、それまでの繊維工場を売却し、軍需工場の設備を購入して事業転換を行った――が、娘の体調不良の原因ではないか――例えば一昔前によくあった公害のように、そこで扱っているなにがしかの火薬なんかが、まだ害というものに無垢で無防備な子供の体には、有害極まるものなのではないか――と考えていたのだが、当時のリサを診た医師たちは誰ひとりとして、リサの病名が何であるかを突き止めることはできなかった。一人またひとりと医師から匙を投げられるたび、マーシャは(それが何であれ、はやく原因がはっきりしてほしい)と強く願い、診察の序盤で夫の仕事のこと――軍需工場のことを言い出すほどで、それが元で病院からの帰り道はいつも酷い言い合いになったそうだが、それでも原因ははっきりとしなかった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーがマーシャ・ライリーが入院している精神病院を訪れる回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります
    8「できるなら、おたくの奥さんの話も伺いたいものだが」と続ける Mr.ミステリーを、時間にしては十数分ながら、そこらの他人には絶対にしないーーそして、望ましくもないーー打ち明け話をした相手にするには適当なぞんざいさで事務所から追い出したフレディ・ライリーは、月に一度、きまって二週目に、✗✗州の国立公園近くにある私立病院に通っている。そこは都市部にほど近くあるライリーの弁護士事務所からも、事務所からは車で十五分程離れたところにある彼の自宅からも、車で一時間程度離れた場所だ。
    「言葉を選ばずに言えば、まあ……外聞が悪いからか?」
    20世紀も末に至ってなお、精神病に対する偏見には根の深いものがある。傭兵としての任務を終えたあと、いっとき精神科からの処方を受けていたMr.ミステリーが、故郷と比較すればとんでもなく物価の高い場所に住みながら、得てして危険かつ非合法な「任務」を得る以外の形で故郷の家族を満足に養えないのには、彼がアジア人である他に、彼の受診歴が問題とされることもあるだろう。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE一枚の広告「フレディ・ライリーは不良債権処理及び買収のプロとして、あなたのビジネスと成功のために尽力します。」/フレディ・ライリーがマーシャ・ベイカーに出会わず敏腕弁護士として活躍しているifルート 工場長のレオと時々レオの経営に口を出すマーシャ、明るく元気な一人娘のリサ(少女たちの確執衣装をイメージ)
    頼れるビジネスパートナー(弁護士遡及妄想時空のマーシャとリサ) 戦争が終結してからというもの、国際欄には和平の記事が目立ち、多少の小競り合いはあっても、少なくとも本土やそれに近い場所で「ライフルが飛ぶように売れる事態」には、およそ発展しそうにもない状況を報じる朝刊を見るにつけ、マーシャは自分の判断――そして、自分の説得を受け入れてくれた夫の寛容さ――に、心から安心するのだった。
     今も縫製工場を営み、余裕があるという程ではないものの、慎ましくも楽しい暮らしを維持するには十分な、そこそこの稼ぎを得ている彼女の夫・レオは、いっとき縫製業界での熾烈な競争にうんざりしたのか、或いは、当時まだ小さかった娘を抱え、先行きの不透明な縫製業界よりは、もっと「割のいい儲け」を得るべきだと、彼なりに使命感に駆られでもしたのか、その頃には業界外でも「奇跡」ともてはやされた軍需工場の購入、そして軍需産業への転身に関心を示していたのだ。その時の夫の浮かれようといったら無くて、明日にでも契約書にサインをしかねない勢いがあったところ、彼は寸でのところで落ち着きを取り戻したのか、「戦争が終わったらライフルなんて見向きもされませんけれど、人々が服を買わなくなることはないでしょう」という、マーシャが再三繰り返してきた説得を聞き入れ、奇跡の軍需工場の買収を取りやめ、渋々ながら縫製業界に留まることにした。それが今から、だいたい七年ぐらい前のことだ。もしあそこで判断を誤っていたら、夫を説得することができなかったら、私達は今頃、どうなっていたのだろう……。マーシャはそのことを考えるにつけ、背筋がぞっと竦む程だった。
    2007