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    リンゴ

    hiz_tb

    DOODLE餞別りんごの日の全然デキてない惚れてすらない門→梶の超短文。あとポイピクさんテキスト投稿出来るようになってたから使ってみたかった主人の帰りを今か今かと待ちわび、人気がすれば慌てて出迎え尻尾を振る。
     そして愛する主人が貶されたと思えば牙を剥き、キャンキャンとやかましく吠える。
     その様子がまるで飼い慣らされた犬のようだと思ったが、そう言えば以前に会った際も、この梶隆臣という男は嘘喰いの言い付けをきちんと守り、見事に斥候としての役目を果たしたのだったと思い出す。
     まるで、はどうやら不要のようだ。これは失敬。
     久々に会った梶はその時と何ら変わらず、嘘喰いの名前を出すと二つ返事で卍の貼られたこの地へ乗り込んできた。
     今回の勝負では確実に死者が出る。
     嘘喰い本人であろうがその協力者であろうが、この中で繰り広げられる賭郎勝負に負ければそれはそのまま己の死を意味する。
     梶自身もそう気付いているだろうに。
     それでも鼻息荒くゴシュジンサマの役に立とうとする健気で哀れな忠犬に、せめてもの餞別として嘘喰いの居場所と林檎をひとつ、くれてやった。
     華々しく散れとは言わない。しかし私が付いている以上、幾ら忠犬と言えど犬死にと呼べるようなものは見せてくれるなという願いを込めて。 476