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    ルト

    はさみ

    DONE思いつくまま書く雑利の続きで雑利になるルートのさわりができたのであげました!
    できたら支部にまとめる予定です

    雑さんが自覚して利くんを落としに行く決意をするところまで
    タソの皆様の口調が迷子ですすみません

    全年齢
    利くんいませんが雑利です
    思いつくままの雑利 ④ 「組頭。戻りました」
     「うん」

     今日も今日とて有休をとって忍術学園の土井半助へ挑みに行っていた諸泉尊奈門がタソガレドキ忍軍詰め所に戻ってきたのは、申の刻に差し掛かる頃。
     この時刻に帰ってきたということは、土井の仕事が忙しく果たし状を受け取ってもらえなかったパターンであろう。水筒に刺したストローで甘い水を飲みながら、組頭と呼ばれた雑渡昆奈門はぼんやりと身支度をほどき始めた彼の後頭部を眺める。

     尊奈門の頭巾の結び目のあたりに蝶のような黄みがかった紙がひらひらと揺れている。
     
     「ねえ尊」
     「はい、なんでしょう」
     「頭のそれ、だれから?」
     「……?あ!」
     
     忍者であるからくっつき虫などはつけていなかったが、尊奈門は何故か頭巾の後ろの結び目に小さく折りたたんだ文を携えていた。ご丁寧に落ちないように針で刺してある。もがいて取れなかった尊奈門を落ち着かせ、そっと抜き取る。文を開いて検めるとここ最近見慣れてきた文字がつづられていた。
    4907

    そのこ

    DOODLEアナベルとフリック。アナベルさん、ビクトールはもう二度と隣に誰かを置かないと思ってたのにフリックがいてビビったろうな。これはビクフリの文脈です。
    2025-04-24


     定例の報告会の後、少し時間が余ってしまった。次の予定まで、アナベル自身も時間があったし、今日は一人で来たフリックもまたすぐに帰らねばならぬ事もないらしい。茶を淹れてしゃべるといっても、お互いにどうしても共通の知人の話になる。
     フリックはどうやら昔の話を殆ど聞いていないらしい。ただ故郷を滅ぼされ、誰にも頼らずに復讐の旅に出た。どうして誰も頼らなかったのか、忘れてしまうことは出来なかったのか。
     10年前のビクトールが、どれだけ暗い目をしていたか。
    「解放軍の頃はそりゃあ信用できない顔してたけどな」
    「でもするっと懐にはいるんだろう」
    「そう。だからこそ俺は嫌いだったけどな」
     笑うフリックの表情はどこか甘さが勝つ。容貌のやわらかさと言うよりも、ビクトールに向ける感情に、言葉ほどのとげのなさから来る甘さなのだろう。もう帰ってこないと思っていたビクトールが、隣国からたった一人連れ帰ってきた男は、その事実の重さと甘さには何も気づいていないようだった。
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