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    主人公

    Myky9Y

    DOODLE「自分が全てを失った時もこうして、アサールは自分の手から本を買い戻すのでしょうか…(うろ)」にぶち上がって書いたド鬱主人公敗北バッドエンドifです
    そういうの好きな人が読んでってね
    星の墓標 アサールは一人、城壁の外にこびりつくように広がる難民街を歩いていました。彼の書店を空にした書痴の大臣がその輝かしい地位を失って以来、一番の上客をなくした彼は長く店を閉めていました。しかし、いつまでもそうしている訳にもいかず、彼は本を仕入れに来たのでした。

     一人でここを歩くのは久しぶりでした。彼が本を仕入れに行くと言えば、アルトは必ず資金とともに誰か護衛を寄越しました。そうしてやって来た護衛には様々な人がいました。初めて出会う人々と会話をし、本でできた彼の象牙の塔から出るのは、アサールにとって心おどる冒険でした。
     彼らはどこへ行ってしまったのでしょうか?
     あの日、アルトが地位を失ったと聞いてから、アサールは閉めきった暗い店の中で誰かが助けを求めてくるのを待っていました。もしかしたら、あの日アルトに連れられて来たザジイが、本好きのルメラが、アルトの影のように付き従っていたファラジが、もしくはアルト自身が──顔馴染みの店主を頼ってくるかもしれなかったからです。アサールは待ちました。しかし、ぽつぽつと彼らの訃報が届く以外に、彼の戸を叩く者はありませんでした。
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    deathpia

    DOODLE3月のテーマ「卒業」! 恋愛シミュレーションゲームの主人公である獣殿のパロディです~~いろんな意味で寛大な気持ちで読んでください
    失恋旅行制服を着て友達と二人きりで観覧車に乗りたい。 高校卒業を間近に控えたラインハルトとしては、そんな青春映画のヒロインのような願望を抱いているわけでもないのに、今日の一日の終わりはこの姿で締めくくられることをずっと知っていたような気がした。 たぶん、即興で通学路を外れてバスの切符を切った後、バス停で偶然会った友人と並んで座り、行き先候補の中からこの遊園地を候補に挙げるずっと前からだ。
    派手に観覧車は回り、ふと見た窓の外から地面が徐々に遠ざかっていく。 出発時にラインハルトの隣に座り、熱狂的な熱狂者のように戯言を連発していた友人は、今や向かいの椅子にずれて座っていた。 そっとラインハルトを追う視線はいつものように意図を隠しているが、密かに笑う口から繰り出される妙な戯言に比べれば、むしろわかりやすい。 明らかに目の前にいるにも関わらず一歩引いて隅の影に溶け込もうとするような、たとえ二人が向かい合って座り、長い足が絡み合い、膝をぶつけたとしても今と大差なかったであろう友人の距離感は、時折、彼を引き寄せようとする卑劣な挑戦精神をラインハルトの中に呼び起こした。
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