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    名画

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    MEMOパロ。名画座でバイトする虎と宿、大学生の伏
     2本分の予告が終わり、映画館の会員募集のCMが始まる。場内をざっと見渡して、空いてる席の位置を確認。ちゃんと覚えたかってもうひとりに訊ねる。覚えたがお前の仕事だろう、ともうひとりは呆れたように言う。それは本当にそう。でも覚えるとかそういうのはお前のほうが得意なんだから、テキザイテキショってやつじゃんね。
     シアター後方、ロビーに通じる2カ所の扉を閉めたら映写室に戻る。少しだけ残してた照明を最後まで落とす。本編が始まるのに合わせてスクリーン脇のカーテンで画面サイズの調整。ええと、この映画は──ヨーロピアンビスタだ、ともうひとりに教えられる。そうだった。アメリカンビスタとシネスコはボタンをひとつ押せばいいけど、ヨーロピアンとスタンダードは自分で見ながらカーテンを動かさなきゃいけない。その地味な調整を苦手だなあ嫌だなあとかんじるせいで、つい意識の外に置きがちだ。小窓を覗きながらボタンを押し続け、ゆっくり閉まるカーテンを見守る。あともう少しだなとおもったところで、もうひとりがボタンから手を離した。あっ勝手にすんなよなと文句を言うけど、見てみろ丁度だろうと言い返される。そして確認するとその通りだ。もう少しボタンを押し続けていたら縮めすぎになってたはずだ。名画座でのバイトを始めたのは映画が好きな俺のほうなのに、フイルムかけるのもこいつのほうがはやく覚えたしカーテンの調整だって上手い。あーあ、ちょっと悔しい。
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