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    喫茶店

    xroooop

    DOODLE大学生謝×黒猫范(ウニ)の幻覚強めの現パロ謝范。喫茶店で働くウニの話。「今日のおすすめは?」
    「オリジナルブレンド……です」

     このやりとりも、もう何度目になるだろう。大学の帰り道、少しだけ遠回りした商店街にあるこの喫茶店に寄るのがもう当たり前の日常になっていた。
     扉を開けた途端に広がるコーヒーの香りと、軽やかに来客を知らせるベルの音。店の奥で皿を洗っていたウェイターが早足に近づいてくる。こちらを見て、ぱっと笑顔に変わって、仕事中であることを思い出したかのように一瞬の真顔を経てから作り笑い丸出しの下手くそな微笑みに変わる。
     手書きの伝票をポケットから取り出して、持ち慣れてきたらしいボールペンをカチリとノックして。それから、改まった他所行きの声で話しかけてきた。

    「お客様、ご注文がお決まりでしたらお伺いいたします」

     それで、冒頭だ。
     必安はいつも今日のおすすめを尋ね、彼はいつもオリジナルブレンドをすすめてくる。この店のおすすめではなく、彼のおすすめを聞きたいのだけれど、一生懸命に働くウェイターに意地悪をしたいわけではないから。じゃあそれで、の一言をいつも通りに返して、必安はボディバッグから黒色のカバーをかけた文庫本を取り出した。
     店の閉店時 3015