怪物
wsms_sousaku
DONE怪物の早贄旧友かくして、俺は元の世界に戻ることができた。
霧を抜けた先が違う県だったことを除けば、安全安心に家に帰った。まあ、違う国に飛ばされるよりマシか。
家や周りに変わった様子はなく、俺がいなくても案外平気に日常は回ることを知った。
「……う」
無事に戻れた。めでたしめでたし。
……なんてことはなかった。
あの忌々しき小鬼のせいでこの一ヶ月間にあったこと全ての記憶を持って帰ることになった。
もちろん、あそこで出来た友人とも言える関係を綺麗さっぱり忘れていたらと思うとよかったところもあったかもしれない。
だが、あのホテルで体験した数えきれない「死」を、そのまままるごと覚えたまま日常生活に戻されたのだ。
首を引きちぎられたこともあった。生きたまま齧られたこともあった。全身火だるまにされたこともあった。ぺしゃんこにされたのだって数えきれない。
1165霧を抜けた先が違う県だったことを除けば、安全安心に家に帰った。まあ、違う国に飛ばされるよりマシか。
家や周りに変わった様子はなく、俺がいなくても案外平気に日常は回ることを知った。
「……う」
無事に戻れた。めでたしめでたし。
……なんてことはなかった。
あの忌々しき小鬼のせいでこの一ヶ月間にあったこと全ての記憶を持って帰ることになった。
もちろん、あそこで出来た友人とも言える関係を綺麗さっぱり忘れていたらと思うとよかったところもあったかもしれない。
だが、あのホテルで体験した数えきれない「死」を、そのまままるごと覚えたまま日常生活に戻されたのだ。
首を引きちぎられたこともあった。生きたまま齧られたこともあった。全身火だるまにされたこともあった。ぺしゃんこにされたのだって数えきれない。
ふうすい
DOODLE生前---
ラディエクスの生きてた時代は出来の悪い脚本のごとく次から次へ怪物や障害が襲ってきたと思うし、救った人々が次の日には住んでた家ごと焼けたとかもあったと思うし、仲間が離反したり(ラに自分たちの国を作って欲しかったが拒否された)、離反した仲間にラがとどめを刺したりとかまあ色々あったと思
ふじたに
PROGRESS猫と怪物 10の裏 笹さに♂️猫と怪物 10の裏 ずっと泥の中でもがいているような気分だった。
絶えず怪異が耳元で囁き、体の中を何かが蠢いているようだ。
アレを食べたせいだと思うのに、もっと喰らわないとだめだと衝動がこみあげる。
昼間は姿が見えないのに不快な声だけが耳の中をこだまして、苛立ちを抑えきれない。
食事はする気になれない、眠るとオレが主の体を貫く夢を見て目が覚める。
持ち上げた手が、自分なのかあやかしなのかわからない。
それでも、主を食われたくなかったら喰らい続けるしかない。
オレの頭を埋め尽くす醜い声を裂くように、ずっと聞きたかった声がした。
「なにをしているのですか?」
なにを?オレは今なにを?
このあやかしどもが、
「こいつら主のことたべたいんだって」
4278絶えず怪異が耳元で囁き、体の中を何かが蠢いているようだ。
アレを食べたせいだと思うのに、もっと喰らわないとだめだと衝動がこみあげる。
昼間は姿が見えないのに不快な声だけが耳の中をこだまして、苛立ちを抑えきれない。
食事はする気になれない、眠るとオレが主の体を貫く夢を見て目が覚める。
持ち上げた手が、自分なのかあやかしなのかわからない。
それでも、主を食われたくなかったら喰らい続けるしかない。
オレの頭を埋め尽くす醜い声を裂くように、ずっと聞きたかった声がした。
「なにをしているのですか?」
なにを?オレは今なにを?
このあやかしどもが、
「こいつら主のことたべたいんだって」
ふじたに
PROGRESS猫と怪物 10の表 笹さに♂️猫と怪物 10の表 笹貫の様子がおかしい、と最初に言ったのは宗三左文字だった。寝ずの番の時に少し様子がおかしかった、と。ただ、宗三はこうも言った。
「僕も来たての時に物の怪どもに不快なことを言われて、カッとなったことがあります。なので、即おかしいとは思いません。討ちもらしたとか怪我をしたとかでもありません。だから記録には残しませんでしたが、彼は昨日今日寝ずの番に参加したわけでもないので、念の為お伝えしておきます」
蜂須賀とふたりで残業をしていた執務室に、わざわざ足を運んで報告してくれた。
次に来たのは和泉守兼定。
「久しぶりに手合わせしたら、剣が荒んでやがる。主がなんかおしおきしてるんだったら、そろそろ許してやってくれ」
6224「僕も来たての時に物の怪どもに不快なことを言われて、カッとなったことがあります。なので、即おかしいとは思いません。討ちもらしたとか怪我をしたとかでもありません。だから記録には残しませんでしたが、彼は昨日今日寝ずの番に参加したわけでもないので、念の為お伝えしておきます」
蜂須賀とふたりで残業をしていた執務室に、わざわざ足を運んで報告してくれた。
次に来たのは和泉守兼定。
「久しぶりに手合わせしたら、剣が荒んでやがる。主がなんかおしおきしてるんだったら、そろそろ許してやってくれ」
cntbgr2
DOODLE新年の挨拶するタイミングを逸してしまってとりあえず辰をラクガキしてみたけど下手だなあ
モンスターとか怪物とかもっとカッコよく描けるようになりたい
クリーチャーも
口だけでなく行動しなければ
ふじたに
PROGRESS猫と怪物 9の裏 笹さに♂️猫と怪物 9の裏 そんなオレに、ある寝ずの番の夜更けに、話しかけるものがあった。
「あるじのこと、もっとしりたい?」
それは黒く凝ったあやかしだった。
あやかしに答えてはいけないとオレに教えてくれたのは誰だっただろう。
オレは激昂してそれに答えてしまった。
「お前が主の何を知ると言うんだ!」
同時に斬りかかったが、影はふたつに割れて両側から囁いた。
──しってるよ、ずぅっとここにいたもの
──あいつは、ひとりでひとをねたんで、うらやましがって、ほしがるばかりのばけものだ
──からっぽで、どこにもいけない
それは、主の言葉。
「ね、橋の下の怪物ってなに?」
オレがそう聞いたのは正気でないほうの主。嫌な質問ではなかったようで、すぐに立ち上がって奥の本棚から持ってきてくれたのは、蜂須賀が見せてくれたのと同じ絵本だった。内容も別に変わらず、トロルについて詳しく書かれてはいない。
2364「あるじのこと、もっとしりたい?」
それは黒く凝ったあやかしだった。
あやかしに答えてはいけないとオレに教えてくれたのは誰だっただろう。
オレは激昂してそれに答えてしまった。
「お前が主の何を知ると言うんだ!」
同時に斬りかかったが、影はふたつに割れて両側から囁いた。
──しってるよ、ずぅっとここにいたもの
──あいつは、ひとりでひとをねたんで、うらやましがって、ほしがるばかりのばけものだ
──からっぽで、どこにもいけない
それは、主の言葉。
「ね、橋の下の怪物ってなに?」
オレがそう聞いたのは正気でないほうの主。嫌な質問ではなかったようで、すぐに立ち上がって奥の本棚から持ってきてくれたのは、蜂須賀が見せてくれたのと同じ絵本だった。内容も別に変わらず、トロルについて詳しく書かれてはいない。