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    965_jima

    MOURNING1944、たぶん一番読んでいただいている話だと思います。
    この続きを今回書くつもりでした…(懺悔)(絶対後日形にします)
    かわいくてかわいくていとしくていとしい 十代の恋人、という存在についてだけなら、実はそんなに罪悪感はない。そもそも親父からして――マサノリのおふくろさんはそれなりの年齢やけれど――カツ子姐さんを見初めたのは彼女が十代の頃と聞いているし、周りの同世代の奴らも干支一回り下あたりからそれこそ自分の娘でもおかしくないような年齢の女を、それぞれ妻にするなり、囲うなり、している。特定の相手がいなかったのは組の中でも実は自分くらいのもので、まあ俺はそもそもあらゆる点でどっか普通とズレてるとこあるし、ヒモ時代も別に愛情とか持ってやってたわけと違うし、誰かを恋しいとか触れたいとか思うようなタマちゃうんやろな、なんて思いながらの二十年。
     いやもうそんなんとんでもない大間違い、青天のヘキレキ、ただ生後十日にして狂い始めた歯車と同じように、運命の相手も大きくズレた年齢に設定されてしもてただけなんと違うやろか、ということに気づくには少し時間がかかった。可愛がりたい、側にいたい、きっと会わせてもらえない甥っ子姪っ子の代わりに愛情をかける真似ごとがしてみたいだけやし、とまっとうな理由を捻り出して自分をだまくらかして、声をかけて呼び寄せて口実を作っては何度も何度も顔を合わせた。狭くて冷たくてしょうもない殺風景な部屋で数年を過ごしてもなお、心の一番深い場所に染み込んで消えない最後のソプラノ。あの微かに淡い色をたたえるまっすぐな瞳が俺のために涙をこぼす、その愛しい表情も。
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