Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    断髪

    アンドリュー(鶏)

    DONEルックがセラ、アルベルト、ユーバーと出会ったときの話。それからほとんど言葉を交わすことのないまま彼らが別れたときの話。
    私の夢と願望を特盛りにしたルックの断髪ネタやレックナートさまとのやりとりも出てきます。

    記念すべき2冊目の同人誌。相も変わらずⅢと破壊者への愛だけはせいいっぱい込めました。
    彼らの業ごと愛している破壊者推しとして、個人的に書いておきたかったお話でもあります。
    邂逅Ⅰ: If one believes in the path before them,
    they follow it.
    As this is human nature.

     あるときは、栄華を極めた黄金の都が。
     あるときは、人々の手によって文化を興隆してきた大きな都市が。
     またあるときは、密やかに隠れながらも生活が営まれてきた小さな村が。
     自分の記憶にある場所も、まだ見知らぬ場所も。その『夢』の中ではただ平等に、安らかに、静かに停止していた。確かにそこにあるはずなのに、生命の存在も色彩も流れるはずの空気も全く存在しない灰色の世界が瞼を閉じるたびに眼前に広がってくるのだ。かつて、隆盛を誇った都や都市が戦によって荒廃する様を見たことがある。自分勝手に拓いておいて自分たちの手でまたそれを壊す人間の心理に共感こそしなかったが、それでも人の手によるものであったからその在り方は理解できた。しかし『これ』は違う。人の手による破壊でも、自然が猛威を振るった跡でもなく、そもそも純然たる破壊ですらなく。ただそれまで脈打っていたはずの鼓動を止められたような、そもそも『生命』という概念が奪われてしまったような。そんな光景だった。
    50147

    zeppei27

    DONEなんとなく続いている主福のお話で、単品でも読めます。御前試合の後、隠し刀が諭吉に髪を整えてもらうお話です。諭吉の断髪式に立ち会いたかった……!どうしてなんだ、諭吉!
    >前作:探り合い
    https://poipiku.com/271957/11594741.html
    まとめ
    https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
    枝を惜しむ もう朝である。障子を通り過ぎた陽の光に瞼をぴくりと動かすと、諭吉はうっすらと浮かび上がっていた意識を完全に現実へと上陸させた。つい先ごろうたた寝をしながら書物を読んでいたつもりが、いつの間にやら轟沈してしまったらしい。やるべきことは山積していると言うのに、ままならぬものである。光陰矢の如しというが、このところは本当に年中時間が勝手に体を通り抜けていっているような気がしている。国全体が大きなうねりの中にあって、置いていかれぬためには必死で鮪のように泳ぎ続けねばならない。
     無意識のままに簡単に身支度を整え、ここが勝海舟の邸だということを再認する。要するに仕事で一日を食い潰したのだろう。どこを向いても自分くらいしかできないだろうという未来が転がっているので、少しも気の休まる日がない。顔を洗ってもしっくりしないので、朝食を終えたら(もちろん太っ腹な勝であれば出してくれるに決まっている)朝湯に行って仕切り直しを図ろうか。鏡を見て、自分の髪を整え直し――諭吉は鏡の端に写った相手に会釈した。
    4938