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    DONE【蒼まど】君の香りは薔薇色吐息
    セルフバースデープレゼントに自分が好きなふたりの話を書いたやつ。元ネタは昴くんのPM。(2020/11/03)
    「さっき廊下でハンカチを拾ったんだけど、多分まどかのだと思うんだ」
    事務所で仕事をしていてたまたま耳に入った――というか、大声なので自然と耳に入った会話に、ん? と意識を向ける。向かいのデスクで仕事をしていた響也も同じ事を思ったのかその顔があがっていた。
    振り向いた視線の先には、ミーティングテーブルに座っている伊織と昴の姿が見える。昴は何かに緊張しているかのように肩をいからせて手を膝の上に置き、テーブルに置いている件のハンカチを睨んでいた。伊織も確かに、と相槌を打つ。
    「レースがついたデザインでは、女性のものだろうな」
    「でもさ!このあいだそうやってまどかに聞いてみたら、仁さんので……」
    「ほう……」
    あの伊織が息を呑んで神妙そうな表情になっていた。わからなくもない。
    本人に聞いて二度地雷を踏むのを躊躇っている男は、あ~~っと声をあげて頭を掻きつつもう一度ハンカチを睨んでいる。
    前へ向き直れば響也が肘を机につき、掌を顎を乗せて含みのある笑顔でこちらを見ていた。どう見てもこちらの出方を伺っているかのような表情を無視して声をかけようかと思った、とき。
    「あとこれ、今はわからないけど拾ったと 1486

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    DONE[昴コ]bird cage of secret
    以前、イベントで頒布したペーパーから再掲しました。
    「はい。はい、そうですね。よろしくお願いします。後ほどご報告いただけると助かります」
    『すまないね』
    「いえ、お気になさらず」
     通話中の携帯を器用に肩と耳で挟んだ沖矢昴はポケットから取り出した預かりものの鍵を玄関の鍵穴に差し込んだ。そのとき、もう一方の手にぶら下げていたスーパーの袋ががさりと鳴る。
    『しかしだね、どうにも慣れないものだよ。本当に別人と話しているようだ』
    「その点は慣れていただくしかないですね。まあ、気持ちは分かりますが」
     電話の向こうにいるジェイムズ・ブラックはおそらく眉間に深いしわを刻んでいる。まだこの声で会話をするのは片手で数えられるほどなので向こうも慣れないのだろう。
     現在、工藤邸に居候している沖矢昴という人物はウィッグや特殊メイクで変装し、変声機で声を変えた赤井秀一だ。組織に潜入していたCIA捜査官である水無怜奈を再び組織へ戻す際、彼女に赤井が射殺されたよう偽装したため、今はこのような姿をとっている。
     水無から呼び出された赤井が来葉峠へ向かう前、ジェイムズが自分と接触しなければこんな厄介な秘密を共有させてしまうことにはならなかっただろう。たられば話をする 2658