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    最終回

    aozorasky31

    DONE初めて書いた東リべのお話になりますので、色々薄目で読んでいただけたら幸いです。
    最終回軸で、日向とは恋人にならなかった世界線のイザ武。
    色んなことを色々捏造してます。書いてて楽しくなってしまって思った以上に長くなりました。
    Blue-violet 何度も何度も繰り返したタイムリープの果てに掴んだ、誰一人欠けることのない日常。万次郎から黒い衝動は消え、共に過ごした東京卍會が解散するまでの日々は、ひと言で言うならば楽しかった。武道は本来なら孤独にフリーターとして生きる未来しかなかったのに。たくさんの仲間に囲まれている未来なんて、なかったはずなのに。
     この手に多くのものを掴んだけれど、失ったものもあった。とてつもなく大きなもの。大切にして、己の命を賭してでも守りたかった橘日向は、恋人という甘い関係にはならず、仲の良い友人の一人となった。恋心がなかったわけじゃない。でも、万次郎と共に生きることを選ぶならば、きっとそれが最良だった。
     兄真一郎も、妹エマも龍宮寺も場地も、過去に失った人間を誰も損なわなかった世界で、万次郎は以前ほど武道に執着することがなくなった。共にタイムリープした共犯者であることから、決して繋がりを消すことはない。互いに、まだ経験したことのない未来を生きるのに必死だった。
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    yak

    PAST2023年鯉誕、ちいコイ展示、その1。月鯉。原作軸。最終回から10年以上後、月島の軍属最後の日。
    pixivに展示しているhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19064686のエピローグにあたります(短編連作の本編はまだ終わっておりません)が、これだけで読めます。
    ことほぎ 兵舎から正門へと向かう道は、よけられた雪の中にうっすらと新たな雪の白化粧をして延びている。月島は、軍靴で浅い雪を踏みしめながら門に向かって歩いていた。門の傍から塀に沿って両側に並んでいる木はキタコブシで、兵舎を新築した当初移植した桜の木が根付かなかった代わりに植えられたものと聞いたことがある。敷地内のキタコブシは、雪の嵩は減ってきたとはいえまだ寒さ厳しいこの時期に、大きく広く伸ばした枝に多くのつぼみをつけ始めている。つぼみは微かに紅色を帯びた白色で、暮れ始めた薄暗い空と白く重なる雪の中、ほのかに温かな色を灯す。幾つものつぼみを目に映しながら、これらが開く姿をもう自分は見ないのだと思うと、不可思議にも思える感慨が腹にまた一つ積もった。兵舎に置いてあった少ない私物を今担いでいる頭陀袋の中に詰めたときも、直属の部下に最後の申し送りをしたときも、毎日通った執務室を辞したときも、兵舎の玄関を出たときも。一つずつ、腹に感慨が積もっていって、それは今やじわじわと腹の内か胸の内かを温めるようだ。
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