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    bach_otamama

    DONEフォロワさんへのお誕生日プレゼント代わりの掌編です。
    聖下の話。時間軸としてはROM6のパウラのバトル直後。
    ラストはレクイエムの歌詞ですが、ミサの際に唱えられる言葉でもあるそうです。
    本来は日本語に「レクイエム・アエテルナム・ドナ・エイス、ドミネ、エト・ルクス・ペルペトゥア・ルケアット・エイス」とラテン語のカタカナ表記をするべきなのだと思いますが、読みづらいのでラテン語の原文と邦訳を併記しました
    三度、知らないと言って 天地がひっくり返ったのだとあの時思った。実際にアイアンメイデンが回転し、文字通りひっくり返ったといえなくもないことをアレッサンドロはよく知らない。ただ、自分の命など歯牙にもかけないと思っていたパウラから向けられる眼差しが、これまでとは少し違っている気がした。

     冷厳なシスターの視線に込められたものをどう表せばいいのかアレッサンドロはわからない。かつて、幼い頃父に侍っていた女達が見せたような媚びとも、即位してから多くの者に向けられてきたような軽侮の念や失望などとも違う。むしろ、今までのパウラから向けられていたものはそれが近い。失望や軽侮ではなくもっと乾いたそれ、無関心という方が近かった。しかし、今のパウラがアレッサンドロへ向ける声や眼差しには立場上だけでないいたわりも感じられる。それは、亡き人を思い出させた。色も、性別も違うのに。
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    Lemon_yummi

    DOODLE◇◆なんでも許せる人向け◇◆
    「主を失った本丸」において、初期刀の歌仙と近侍の和泉守がそれぞれ異なる忠義と信念を抱いて衝突する話。
    いつ如何なる場合においても歴史改変は許されないのか?という率直な疑問から着想を得た。
    極同士の容赦なしの真剣勝負と、歌仙の揺れ動く心情が描きたかった気持ちも強め。
    歌仙さん暴走気味。
    『__政府からの指令です。歴史改変を阻止するため、歌仙兼定を誅伐せよ。』
    徒花の君へ【壱 崩落】
     ――主が死んだ。
     すぐ帰るから、と言って護衛も無しに万屋へ向かう道中で暴れ馬に撥ねられた。
     刀である僕たちと違って、人の身体は手入れでは元に戻らない。
     乱れた髪も、土に染みた鮮血も、折れた幾つもの骨も、何一つ。
     人の寿命は短いとわかっていた。それでも、あまりに早過ぎた。
     実を成せず、雨に打たれて志半ばで散ってゆく。
     
     ――徒花のように、呆気なく。

    ◇◆◇◆
     
    「それでは、これにて説明は以上となります。
     他の本丸への異動を希望する方は後程こちらへ、
     刀解を希望する方は所定の場所へ移ってください。」
     管狐と政府の役人の指示に従って、数多の刀剣男士が本丸を駆けていた。
     それも束の間、太陽が傾いて影が伸びてゆくうちに、一人また一人と声が消えてゆく。
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