おそろ　イアスがそこにやってきたのは偶然とも必然とも言えた。

　六分街にあるビデオショップ・Random Playにて、いつものメンテナンスを終えたボンプのイアスは、自身の主人である店主の兄妹を手伝うべく外に出ていた。プロキシというあまり大っぴらにできない顔を持つふたりのため、ホロウ内で彼らの手足となり目となるイアスは、やっぱり大っぴらに外に出ることはできない。けれどひと気も少ない深夜帯のゴミ捨てくらいならと小さな体で大きなゴミ袋を抱え、イアスは店の裏手にあるゴミ箱へと向かったのである。

　裏口のドアを閉め、たまさか耳にした普段あまり聞かないエンジン音にふと顔を上げた。
　その瞬間に視界がブラックアウト。声を上げる暇なぞ一秒だってなかったことは、イアスの視覚記録を解析すればわかるだろう。

【なに】変な建物あるんだけど【あれ】1：地域に寄り添う新選組
　つかぬことをお伺いしますが、第二訓練所にそびえ立つあの建物はなんですか？僕の記憶では昨日まで居合練習の巻藁が並んでいた筈なんですけど。

2：地域に寄り添う新選組
　それは謎の真っ白な建材のせいで直視すると目が潰れそうな、恐ろしく左右対称な建物のことですか？

3：地域に寄り添う新選組
　え、なに？そんなもんがあるの？

4：地域に寄り添う新選組
　昨日訓練所使った時には巻藁しかなかったよ？？

5：地域に寄り添う新選組
　今日第二使う予定だったんですがマジですか？

6：地域に寄り添う新選組
　な、なに……？なに？？？

7：地域に寄り添う新選組
　うそ？ほんと？？

8：地域に寄り添う新選組
　嘘か本当かで言うと、本当