無人駅
kurimaru921
SPOILERまろんのKPレスシナリオ、「海底散歩と星の唄」「無人駅発、さよなら行き」「亡心の花導」「月に魚の跳ねる夜」「ペン先の心像」のある意味ネタバレ注意。
・
・
・
・
・
・
・
・
基本的にどれも「ドリームランド」と「覚醒世界」の間にある、「夢と精神の狭間」との言えるような曖昧な場所が舞台になっています。
夢と人々の精神とが溶け合っている場所なので、いろんなことが起こります。(ご都合主義の極み)
nlak_kk
TRAINING巽→←マヨ無人駅で海を眺める話。
(恋をしている) 「海を見に行きませんか」
巽の唐突な誘いにマヨイは一言目を失った。首をかじける姿に慌てて承諾の言葉を返せば、巽は安堵の色を浮かべてマヨイの手のひらに体温を重ねる。
何故あなたはすぐに私に触れるのでしょうか。視線を揺らしながらも、問いかけるために唇を震わせようともしなかった。視線を落とせば、巽の手のひらは未だに両手を温かく包み込んでいる。それじっと見つめていれば、どことなく額がむず痒い心地になる。
「あのぉ、逃げませんので……ですから、そろそろ手を離していただけませんか? 」
もはや口癖のような謝罪の言葉ののち、一度力を込められた手のひらはようやくその体温を離す。指先までもじんわりと温めたそれは、己が離されることを望んだはずなのに、自らの意思であの感触を忘れまいと掴み返しているようだ。そんなはずはない。頭を振る。わずかな振動で三つ編みから後れ毛が逃げ出せば、その毛先すらも彼はとらえた。指先ですっと撫でつけ、元いた毛束へと戻してやる。一瞬うなじに指の腹が触れると、マヨイは思わず顔を上げた。
5435巽の唐突な誘いにマヨイは一言目を失った。首をかじける姿に慌てて承諾の言葉を返せば、巽は安堵の色を浮かべてマヨイの手のひらに体温を重ねる。
何故あなたはすぐに私に触れるのでしょうか。視線を揺らしながらも、問いかけるために唇を震わせようともしなかった。視線を落とせば、巽の手のひらは未だに両手を温かく包み込んでいる。それじっと見つめていれば、どことなく額がむず痒い心地になる。
「あのぉ、逃げませんので……ですから、そろそろ手を離していただけませんか? 」
もはや口癖のような謝罪の言葉ののち、一度力を込められた手のひらはようやくその体温を離す。指先までもじんわりと温めたそれは、己が離されることを望んだはずなのに、自らの意思であの感触を忘れまいと掴み返しているようだ。そんなはずはない。頭を振る。わずかな振動で三つ編みから後れ毛が逃げ出せば、その毛先すらも彼はとらえた。指先ですっと撫でつけ、元いた毛束へと戻してやる。一瞬うなじに指の腹が触れると、マヨイは思わず顔を上げた。