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    田中

    いしえ

    DONE鈴と若7本初出順まとめ
    ・さあ、おとぎばなしを生きよう!/鈴若鈴でも鈴若でも
    ・出世した魚、大海ゆうゆう/鈴若(※若干の事後描写あり。具体的ではないですが)
    ・そして青さと春を知る/鈴若でも鈴若鈴でも(田中時代メイン)
    ・おとぎ参り/鈴若でも鈴若鈴でも
    ・ぬくもり、火ともし道となる/鈴若鈴でも鈴若でも若鈴でも
    ・季節がきっと、めぐりゆけども/鈴若
    ・夢の跡地は虹の架け橋/鈴若鈴でも鈴若でも若鈴でも
    鈴若と、受攻解釈お任せの鈴若鈴or鈴若(ものによってはor若鈴も)の小説7本まとめ◆さあ、おとぎばなしを生きよう!/鈴若鈴でも鈴若でもお任せします◆
    (2023.09.03初出)幽白読み返し中で、田中まで読んだので、ひとまず今の印象をSSにしました。





     伝説を、作ろうとしていた。それにはまず、戸愚呂に勝つことだと思ったのはそう、田中を名乗っていたころだ。そして俺は、惨敗という語すら恐れ多いほどみじめにいきのこる。ああ、負けた。だが同時に思う。自身は、生への執着が強いのだろう。もうこんな思いはしたくない。強くなりたい。強くなれれば、戸愚呂へのリベンジマッチが果たせれば、きっとこの生にもみじめな執着は薄れよう。そう思うほど、戸愚呂への勝利が生きる意義になっていた。きっとつよさとは、もうそのまましんでもいいと思えるほどのそれ以上ない境地にあるのだろうから。そうすれば、そうだ、自ずと伝説にもなれよう。伝説とはきっと、数々の偉業がつむぐ物語なのだから。強くなりきるまえに老いることだけがただ恐く、人間のようにすぐ老いる儚い存在でなくて良かったとだけ、密かに安堵する。ああ、老いとは、儚く醜く度しがたいものだ。人間にだけは、なりたくないものだ。
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