箱庭
霧生サノツキ
DONE箱庭の魔女 シラホ。Twitter企画「俺魔女」に投稿したキャラクター。もともとは、10年前にpixivに投稿したものです。水を操り、様々な植物を育て、研究しています。目は見えないけれど、生命の息吹を強く感じることが出来る、穏やかなお姉さんです。
空鳥ひよの
DONE「蒼の箱庭と紅の記録」SS話。こうあお。※本文に本編のネタバレ含まれます。
「蒼くて宝石のような飲物」 それは、蒼さんが15歳になったばかりの頃だった。僕は蒼さんの好きな物や事を少しずつ聞き出していたのだが――
「好物がない?」
「ええ、ないの」
この年頃の少女にしては珍しく、好きな食べ物がないという。というのも蒼さんは少食のため、あまり食べるのも好きじゃないと語っていた。
「……やっぱり食べるのが好きじゃないのかな?」
「いいえ、そういうわけじゃないの。……貴方が持ってきてくれる雑誌を見て、こんなに美味しそうなものがあるなんて、って思っているし……」
ただお店に出かけるということがあまりできないため、蒼さんもそれを見る度にため息をついている。
「それにね、家で食べても美味しいと感じなくて。それは小さい頃がずっとそうだったから……」
3863「好物がない?」
「ええ、ないの」
この年頃の少女にしては珍しく、好きな食べ物がないという。というのも蒼さんは少食のため、あまり食べるのも好きじゃないと語っていた。
「……やっぱり食べるのが好きじゃないのかな?」
「いいえ、そういうわけじゃないの。……貴方が持ってきてくれる雑誌を見て、こんなに美味しそうなものがあるなんて、って思っているし……」
ただお店に出かけるということがあまりできないため、蒼さんもそれを見る度にため息をついている。
「それにね、家で食べても美味しいと感じなくて。それは小さい頃がずっとそうだったから……」
空鳥ひよの
SPOILER「蒼の箱庭と紅の記録」の本編後のお話です。こちらは試し読み版となり、10月に出す文庫版に収録する書き下ろしとなります。
アフターエピソード「僕と蒼のこれからと幸せ」 試し読み版 緑都の家に寄った後、ようやく僕の家へと着く。蒼さんは車内でそわそわとしながら、僕の家がどんなものかと楽しみにしていた。
「あんまり期待するものはないからね?」
「そうかしら?私は自分の家以外のところに行ったこともなければ、泊まったこともないから」
昔から病弱なのと、そして両親からの扱いがぞんざいだったせいか蒼さんは家族とどこかへ行ったあるいは旅行にでかけた、ということがほぼないという。だから僕の家に来て、そして泊まることは蒼さんにとって初外泊ということになる。
「多分、蒼さんが期待するようなものないから。それは言っておく」
「隠すべき秘密の一つや二つあるんじゃないの?」
「どういう期待しているの!?」
車内ではこんな会話で盛り上がっていた。蒼さんは僕のことどういう目で見ているのやら。未だに彼女についてわからない部分はあるけれど、それは追々知っていく形でいいかと思う。
1995「あんまり期待するものはないからね?」
「そうかしら?私は自分の家以外のところに行ったこともなければ、泊まったこともないから」
昔から病弱なのと、そして両親からの扱いがぞんざいだったせいか蒼さんは家族とどこかへ行ったあるいは旅行にでかけた、ということがほぼないという。だから僕の家に来て、そして泊まることは蒼さんにとって初外泊ということになる。
「多分、蒼さんが期待するようなものないから。それは言っておく」
「隠すべき秘密の一つや二つあるんじゃないの?」
「どういう期待しているの!?」
車内ではこんな会話で盛り上がっていた。蒼さんは僕のことどういう目で見ているのやら。未だに彼女についてわからない部分はあるけれど、それは追々知っていく形でいいかと思う。
お茶🍵
DOODLE箱庭デート話【アシフォル】お兄様がんばる。映画デートからのストピ。既刊5話後前提ですがこれだけでも読めます。
R部分は暗転、後日書きます。
「え、それってさ、その、デ、デートのお誘いってやつ? なんて……」
いつもの軽口のように発した言葉は、けれどその実所々が震えてとても無様で。
そうやって動揺を隠しきれない様子にアシッドがなぜ陥っているかというと。
「…………そう、ですけど。何か」
頬、目尻、耳の先。顔面のあらゆる所を赤く染めながら、じとりと見上げてくる兄のせいに他ならなかった。
***
バレンタインデーはファンや業界関係者からのチョコレートで埋まった。
それは正に「埋まった」と表現していい有り様だった。アシッド単独での活動時から、この日にはプレゼントの山が押し寄せていたし、一般人であった頃も貰うものはあった。
そうだとしても、名実共に人気絶頂の双子アイドルとなった今年はそれらの比ではなかった。事務所の一室を埋め尽くし、まだ入りきらないと疲れ切った顔を見せるマネージャーを労い、残念ながら安全面から手をつけられないそれらにごめんねをしたのはついひと月ほど前。
9017いつもの軽口のように発した言葉は、けれどその実所々が震えてとても無様で。
そうやって動揺を隠しきれない様子にアシッドがなぜ陥っているかというと。
「…………そう、ですけど。何か」
頬、目尻、耳の先。顔面のあらゆる所を赤く染めながら、じとりと見上げてくる兄のせいに他ならなかった。
***
バレンタインデーはファンや業界関係者からのチョコレートで埋まった。
それは正に「埋まった」と表現していい有り様だった。アシッド単独での活動時から、この日にはプレゼントの山が押し寄せていたし、一般人であった頃も貰うものはあった。
そうだとしても、名実共に人気絶頂の双子アイドルとなった今年はそれらの比ではなかった。事務所の一室を埋め尽くし、まだ入りきらないと疲れ切った顔を見せるマネージャーを労い、残念ながら安全面から手をつけられないそれらにごめんねをしたのはついひと月ほど前。
空鳥ひよの
MEMO新作創作「蒼の箱庭と紅(あか)の記録」のキャラクターまとめになります。VR箱庭世界と現実世界の二つで織りなす物語です。ツッコミどころは相変わらずあると思いますが、どうぞよろしくお願いします!
▼1話無料配布中
https://blueskygarden.booth.pm/items/3691037 6
coloring_No3
MENU2022年 3月(前半)箱庭の観測者様へを動物の人たち(?)に回す怒涛の1週間でした。達成感と、余韻がすごい。
どの卓も素敵で、GMをするたびこのシナリオの魅力に触れています。ありがとうございました。 4
空鳥ひよの
INFO3/20開催のオンラインイベント「OperationVR-EXTRA #3」に参加しています。配置は【春休みの教室-H-5】になります!新作の創作作品「蒼の箱庭と紅の記録」プレ版をPDF無料配布しますのでよろしくお願いします~!ちなみにラジオのおたよりでこの作品紹介してもらおうかと…思ってます…コソッ
biko0205
DONEおまあん、箱庭、はーとふる、出れない部屋、などなど…からの焦点でメンタルズタボロな気がする莉久はどんな気持ちなんだろなと思って考えてたやつです ネタバレは特にないメンバーといる時は情緒落ち着いてるんだろうな。 3
ゆうほ
INFO遊歩宅オリ主まとめオリ主を一気見したい方用の全オリ主まとめページです。
オリ主テンプレ、グノ汚染記録テンプレ、お借りしております。
汎主【にゅーむ】
男主 【リィェン】【狭間の姿リィェン】
女主【ソアル】【狭間の姿ソアル】
オリ主の時系列表
共有設定【銀の箱庭】説明書き
イラストはクリオネ様に描いていただきました 11
ゆうほ
INFO銀の箱庭 管理人【ソアル】【リィェン】交流宇宙『銀の箱庭』設定テンプレ の管理人オリ主【ソアル】【リィェン】狭間世界の画像データ。
(オリ主テンプレ 汚染記録テンプレ お借りしています)
(イラストはクリオネ様に依頼して描いていただきました) 4
sabacanz
MOURNING【miniature garten】※配慮の為あげ直しですいません。rt/👍下さった方ごめんなさい🙏💦💦解けた過去や物語を新たに繋いでいく。
温もり満ちた、2人きりの箱庭で。
狙った訳ではないです(本当に)。
図らずも温もりを感じる絵を…と週末に仕上げて調整して、勇尾の日に便乗させて頂こう…と思ってた所で。
作さんのB区も塗り直したので供養させて下さい😭🙏
papepipu_pp
PAST2年くらい前のやつ…ギョエ……箱庭みたいな絵(ヴィネットというらしい)が描きたいと思って描き始めたやつ。最初はもっっっと頭身低くてかわいかったのに途中でバランス崩れて足すことも引くことも出来なくなって謎の着地をした…プレッツェルだけめっちゃ自信ある
すまちー
PROGRESS表紙ラフと冒頭部分のネームです漫画1P目に出てくるのは光の戦士と劇場艇の
「楽器を抱えた劇団員」です
https://twitter.com/sumachi_ff14/status/1363535867847929856
ここをみるとわかりやすい!
アゼムの魂を持つ子ミコッテがソル帝の目に留まり
かつて長男のために作った箱庭の屋敷に住まわせるというお話
エメ光(♀)&エメアゼ前提です 7
@キュマ/小熊奈津
PAST【箱庭とリボルバー】未通過×箱庭とリボルバーにて製作した背景です
2p目からココフォリアの全体図とネタバレあり
あげてなかったので
個人的に綺麗にできたお部屋
使用ソフト
CLIP STUDIO PAINT
3Dオブジェクト
イス.cs3o tumugi 様
リボルバー Revolver OB-jet 様
丸テーブル しゅうすい 様 5
斑猫ゆき
DONE精神科の患者タンジロと医者たみおさんの炭魘シーズン2です。『ジョハリの箱庭』本編の裏で起こっていたことをタンジロとむざさま+上弦が解説してくれる話④。とりあえずこれでいったんおしまいです。Lycoris radiataの生活環・Ⅳ「それでは、失礼します」
童磨に伴われて、炭治郎は応接室をあとにする。
そういえば、病室へと案内して貰う途中だったか。そんな記憶がやっと意識の表面に浮かんでくる。途端にずしりと重くなる肩。随分長い間話し込んでいたようで、もう窓の外では日光が夕に色づき始めていた。扉をくぐろうとしたところで、無惨が思い出したかのようにふたりを呼び止めた。
「ああ、童磨。ついでにこれを資料室に持って行け。もう、必要のないものだからな」
首の向きだけで、無惨はドアの傍らに立つ本棚を指し示す。中程の段に書類ラックが突っ込まれており、中にはカルテらしきバインダーが数枚詰まっていた。童磨は軽く会釈をしてそれを抱えると、再び炭治郎を促して扉の外へと出る。
6536童磨に伴われて、炭治郎は応接室をあとにする。
そういえば、病室へと案内して貰う途中だったか。そんな記憶がやっと意識の表面に浮かんでくる。途端にずしりと重くなる肩。随分長い間話し込んでいたようで、もう窓の外では日光が夕に色づき始めていた。扉をくぐろうとしたところで、無惨が思い出したかのようにふたりを呼び止めた。
「ああ、童磨。ついでにこれを資料室に持って行け。もう、必要のないものだからな」
首の向きだけで、無惨はドアの傍らに立つ本棚を指し示す。中程の段に書類ラックが突っ込まれており、中にはカルテらしきバインダーが数枚詰まっていた。童磨は軽く会釈をしてそれを抱えると、再び炭治郎を促して扉の外へと出る。
斑猫ゆき
MAIKING精神科の患者タンジロと医者たみおさんの炭魘シーズン2です。『ジョハリの箱庭』本編の裏で起こっていたことをタンジロとむざさま+上弦が解説してくれる話③。長いので複数回に分けての投稿ですLycoris radiataの生活環・Ⅲ 呆気にとられた表情で、炭治郎は無惨と童磨を見つめていた。
別の世界の、夢。
幾度も己が繰り返してきたそれが、ひとつの現象へと収斂していく。俄かには信じがたかったけれど、眼前の二人の振るまいからは、ひとかけたりとも放埒な嘘の匂いなどしなかった。余りにもひたむきで、混じりけのないそれに、炭治郎はおずおずと質問を差し出す。
「え、っと……それ、俺に話してもいいことなんですか?」
「うん。だって、君がそれを誰かに吹聴したところで、誰もマトモに信用しないだろう? 夢ばっかり見てる子供の戯れ言だって。俺たちもそうだった。ただ一人、無惨様以外は」
ほんの僅かだけ、童磨の顔が曇った。
極彩色の瞳は光を弾くことなく留め、白橡の髪が陰った陽に白く濁る。それは他人を映す鏡である彼が見せた、本来の輝きのようにも見えた。それを机越しに眺めやりながら、炭治郎の頬が僅かに強ばる。
6090別の世界の、夢。
幾度も己が繰り返してきたそれが、ひとつの現象へと収斂していく。俄かには信じがたかったけれど、眼前の二人の振るまいからは、ひとかけたりとも放埒な嘘の匂いなどしなかった。余りにもひたむきで、混じりけのないそれに、炭治郎はおずおずと質問を差し出す。
「え、っと……それ、俺に話してもいいことなんですか?」
「うん。だって、君がそれを誰かに吹聴したところで、誰もマトモに信用しないだろう? 夢ばっかり見てる子供の戯れ言だって。俺たちもそうだった。ただ一人、無惨様以外は」
ほんの僅かだけ、童磨の顔が曇った。
極彩色の瞳は光を弾くことなく留め、白橡の髪が陰った陽に白く濁る。それは他人を映す鏡である彼が見せた、本来の輝きのようにも見えた。それを机越しに眺めやりながら、炭治郎の頬が僅かに強ばる。
斑猫ゆき
MAIKING精神科の患者タンジロと医者たみおさんの炭魘シーズン2です。『ジョハリの箱庭』本編の裏で起こっていたことをタンジロとむざさま+上弦が解説してくれる話②。長いので複数回に分けての投稿ですLycoris radiataの生活環・Ⅱ なおも童磨の講義は続く。ひんやりとした応接室の空気に、入り交じっていく言葉。カーテンを揺らした風が、また金木犀の香を鼻先まで運んでくる。
艶やかな甘さを空気に感じる度、炭治郎は奇妙な感覚に襲われていた。窓は開け放されたままで、ずっと花の香りはこの部屋に満たされていたはずなのに、それに気づくたびに新しく生まれてきたような気すらする。居心地の悪い非連続性。まるで夢から覚めて、また別の夢の中にいるかのように。
「さて、ここから本題に入ろう。今言ったように人間と蝶では感覚器官の差異が激しすぎて、夢をそのまま現実と受け取ってしまうことはそうそうない。だけれど、現実世界とほぼ同じ『自分』の視点で夢を見たとしたら、どうだろう」
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「さて、ここから本題に入ろう。今言ったように人間と蝶では感覚器官の差異が激しすぎて、夢をそのまま現実と受け取ってしまうことはそうそうない。だけれど、現実世界とほぼ同じ『自分』の視点で夢を見たとしたら、どうだろう」
斑猫ゆき
MAIKING精神科の患者タンジロと医者たみおさんの炭魘シーズン2です。『ジョハリの箱庭』本編の裏で起こっていたことをタンジロとむざさま+上弦が解説してくれる話。長いので複数回に分けての投稿ですLycoris radiataの生活環・Ⅰ「こんな山奥に、よく来たなぁ。疲れたろう?」
先導する男が笑う。
童磨と名乗った医師の、白橡の髪を視線でなぞりながら、炭治郎は白い廊下を進んでいた。リノリウムの床に、歩幅のまるで違うふたつの足音が輪唱する。
今いるこの四階に、自分の病室があるのだという。
先程上がってきたエレベーターの中で説明された筈の情報ではあるが、どうにも実感が湧かなかった。それどころか、今日からこの診療所に転院してきた自分を、童磨が施設の入り口で出迎えてくれたときの情報も、もう既に酷く遠い。記憶は確かなのに、まるで、ほんの少しだけ過去の自分と現在の自分が、透明な壁で隔てられてしまっているかのように。
視界は明るく、そして白い。右手にある窓の外には先程車を走らせてきた樹海が犇めいている筈なのだが、壁側に寄っているせいか、炭治郎の位置からは雲の張り詰めた空だけが見える。白と黒と、その濃淡だけで構成される景色。ときたま視界を掠める色は、雲間から零れる日射しの白から分けられたものでしかなかった。
8685先導する男が笑う。
童磨と名乗った医師の、白橡の髪を視線でなぞりながら、炭治郎は白い廊下を進んでいた。リノリウムの床に、歩幅のまるで違うふたつの足音が輪唱する。
今いるこの四階に、自分の病室があるのだという。
先程上がってきたエレベーターの中で説明された筈の情報ではあるが、どうにも実感が湧かなかった。それどころか、今日からこの診療所に転院してきた自分を、童磨が施設の入り口で出迎えてくれたときの情報も、もう既に酷く遠い。記憶は確かなのに、まるで、ほんの少しだけ過去の自分と現在の自分が、透明な壁で隔てられてしまっているかのように。
視界は明るく、そして白い。右手にある窓の外には先程車を走らせてきた樹海が犇めいている筈なのだが、壁側に寄っているせいか、炭治郎の位置からは雲の張り詰めた空だけが見える。白と黒と、その濃淡だけで構成される景色。ときたま視界を掠める色は、雲間から零れる日射しの白から分けられたものでしかなかった。