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    肉まん

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    DONEワタルと虎王が肉まんを食べているだけのお話です。理由も確信もなく、それは単純な思い付き、そして少しの予感と期待だった。薄曇りの空を教室の窓から眺めていたワタルは、今日の帰りに『そう』しようと思った。
    放課後、まっすぐ家には帰らず、コンビニへと寄った。学校帰りの寄り道はしてはいけない事になっているので、念のため、鞄は近くの茂みに隠した。小学生一人で買い物をすると、何か言われるかと少々緊張したが、幸い、何も言われなかった。目的のものを二つ買う。300円近い出費は少々痛手だったが、渡された袋は温かく、何となく、幸せな気持ちになった。
    その袋をコートの下に隠す様に抱え、鞄を背負って、急ぎ、龍神山へと向かった。

    龍神山には、少しだけモヤがかかっている。あまり見ない光景だったが、ワタルは段々、小さな予感が確信に変わって行く様な気がした。急ぐ事はないのだろうが、自然、駆け足で階段を登って行く。途中、茂みに入り、近道をする。モヤは濃くなる一方だったが、ワタルには不安はなかった。
    茂みを抜けた先には、龍神池があった。すっかりモヤで覆われていて、向こう側にある桜の木も、良く見えなくなっていた。
    そちらの方に、人影が見える。予感が当たり、ワタルの口元に 2297