星を届けてキラキラ光る星を見上げて、ヒミコはほうっと、白い息を吐いた。
「今日はクリスマス、なのだ」
その昔、『クリスマス』の事を知らなかった相手に、その意味を教えた時の事を思い出す。
赤い服を着た使者が、子ども達にプレゼントを贈る日。
その相手は「星が欲しい」と言っていた。
その時ヒミコには、何故その様な事を言い出したのか分からなかった。
けれど『欲しい』という物なら、あげたかった。本物は、あげるのが叶わなかったから、せめて自分の手で作った物をと渡したら、とても……嬉しそうに、笑っていた。
「トラちゃん、星は見つかったのか?」
空を見上げて、ヒミコはその向こう側に声をかける。返事はない。
随分昔に、旅に出てしまったのだから。
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