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    血縁

    mayo

    DONEさめしし。ししさんが血縁のない子どもの世話をする話。さめ先生の来訪とすれ違い。雑用係ががんばります。
    世界はそれを、(④) 暖かい日がつづいたかと思えば急に涼しくなる。村雨は出入り口に近づくほど冷えていく廊下の空気に顔をしかめた。二日前は半袖でも通用する気温だったため、ジャケットを羽織っただけで出勤していた。
     職員用駐車場に足を進めるあいだも、寒風は容赦なく吹きつけてきた。二十四時間を超える勤務を終えて疲弊しきった体にはこたえる。びゅうびゅうと鳴る秋風に「お医者様は痩せすぎなんじゃねえの? オレみたいに筋肉つければあったかいぜ」という声が混ざった気がした。たしかに彼はあたたかい。ここにはいない熱を思い出した一瞬だけは、寒さを忘れることができた。その幻想はすぐに木枯らしが散り散りに吹き飛ばしていったが。
     運転席のドアを掴むと、鋼板の冷たさがひときわこたえた。激務のあいだ放置された車内も風が遮られるだけいくらかましだ。とはいえ、冷えきった体にはたいした慰めにもならない。レザーシートがじわじわと体温を奪う。うまく動かなくなってきた頭が心地のよい熱を求めていた。ナビの行き先を自宅の次に登録した場所へと設定したのは、ほとんど無意識によるものだった。
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