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    さらさ

    MOURNING閃Ⅰでの8月の自由行動日、例のイベントで香水の匂いが移ってしまった後の話
    無自覚だった恋心を自覚してしまうクロ→(←)リン

    いつか続きは書きたい
    『ラベンダーの誘い』

     その日の夜、話題になったのはリィンがどこかの女性に迫られて香水の移り香をつけて帰ってきたという事だ。発端は委員長ちゃんだったが、それは瞬く間に第三学生寮へと広まっていった。女性陣から詰め寄られているのを遠目に、匂いはラベンダーだったと聞いたことを思い出す。この近郊で、ラベンダー。そして今日は日曜日。そのピースが揃ってしまうと嫌でもあの魔女の姿を思い出す。全く、純朴な青年に一体何をしているのやら。からかいついでにリィンに近付いてみれば、確かに思い浮かべた人物が使っている香水と同じ匂い。曰く、彼女の使う香水のラベンダーは特殊なものだそうで。俺で遊んでいるというのを嫌でも分かってしまう。

    「いやぁ、まさかリィンがそんな風に迫られちまうとはなぁ」
    「だから違うって言ってるじゃないですか」

    正直、腹が立つ。その反応さえも面白がられているのだから、余計に。そこでふと、どうして自分が腹立たしく思ったのかを考えてしまった。ただの後輩、今はクラスメイト。お人好しで他人優先、自由行動日や放課後に何もしない彼を見たことはない。危ういバランスの上で成り立ついたいけな青少年、それだ 904

    DONEコタツでみかんは推しがかわいくなる最高のシチュエーションなんです(題名)

    [あらすじ]
    クリアがコタツで船を漕いでいる蒼葉にみかんを一房差し出すと、なんと、寝ぼけながらも食べてくれるではないか。これは!と閃いたクリアはみかんを口に咥え、蒼葉へと顔を近づけるのだった……。
    コタツでみかんは推しがかわいくなる最高のシチュエーションなんです(題名)

     少しのいたずら心と期待。高鳴る鼓動がクリアの内に熱を孕ませた。その唇から伝わる熱で、みかんが温もっていく。
     咥えた反対側がふにっと蒼葉の唇を押すと、先ほどクリアの手から与えられるまま食べたのと同じように、緩く隙間が作られた。押し込めたい衝動を耐えて、睫毛の影を目元へ落とす蒼葉を間近に見つめる。薄く開いた口から綺麗に並んだ歯が覗き、口の中の温かさを思わせる赤い舌がちろりと動くのに目を細めた。
    「ん……」
     みかんの先が吐息の漏れた蒼葉の唇に挟まれる。歯と舌を使ってゆっくりと中へ引き込まれるのをクリアは分かっていながら、みかんを手放すことができないできた。顔を寄せ、唇同士が触れ合ってようやく力が抜ける。
     幼さの残る寝顔に抱いてはいけない感情がわいてくるのをどうにか胸の内に留め、残りのみかんを舌で押して蒼葉の口の中へと収めた。
    「っ」
     唇を離そうとしたクリアの全身が跳ねる。みかんを甘噛む延長で、蒼葉がクリアの舌に吸い付いてきた。想像通りの温かさと潰れたみかんの甘酸っぱい果汁が絡みついてきて、くらりと眩暈がする 617