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    minamidori71

    DONE現パロビョルアシェ、第五話。
    クリスマス前にルカへの想いを自覚したビョルンは、向学心に燃えて英国史と文学を自習しはじめ、博物館で開かれたルカの公開講座にまで足を運ぶ。しかし想いが募るあまり、プラトニックな憧れにとどめておこうという当初の考えは、徐々に変化してゆく。

    今回でこのシリーズは終わるつもりでしたが、もう一話延びます。作中、ロンドン博物館が登場しますが、この博物館は昨年閉館しました。これまで特に明記してきませんでしたが、この現パロシリーズは原作軸からちょうど1000年後、2014年10月からはじまっています。なので第五話の時点では2015年5月です。
    Unknown Legend(5) 熱心に質問をしていた年若い受講者が丁重に礼をのべ、興奮気味に去ってゆくのを見届けて、ゆっくりと席を立ち、歩み寄る。とっくに気づいていたはずのルカは、それでも大袈裟に眉を上げ、両腕を広げてみせた。
    「これはこれは。しかし、なんだってこんな回りくどいことをするかねえ?」
    「別に、回りくどかねェよ。正規の手続きだ」
    「ひとつ屋根の下に暮らしてるんだから、訊きたいことがあるならいつだって訊きゃアいいのに」
    「そういうのは、ひとつだけ質問があるときに使う手だろ。俺の場合、全部聴きたいんだ。だってものを知らなさすぎだから」
    「ふーん?」
     鼻を鳴らし、くちびるの片端を吊り上げるいつもの笑みを向けてくる。そして、
    「まァ何にせよ、勤勉なのはいいことだ。オレは嫌いじゃねェよ、そういうの」
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    むんさんは腐っている早すぎたんだ

    DONE七風リレー小説企画 第一弾ラストになります。
    お付き合いいただいた皆様ありがとうございました!!

    (なおラストはどうしても1000文字で納められなかったので主催の大槻さんにご了承いただいて文字数自由にしてもらいました💦今後もラストパートはそうなると思います)
    七風リレー小説⑥ 一度だけ響いた鐘の音に惹かれて風真は歩を進めていく。理事長の方針なのかは知らないが目的地までの道は舗装されておらず、人工的な光もない。すでに陽は沈みきってしまっているため、風真は目を慣らしつつ〈湿原の沼地〉を進んでいく。草木の茂る中ようやく着いた開けた場所にぽつんとあるそこは、予想はついていたが建物に明かりなどついておらず、宵闇にそびえる教会はいっそ畏怖さえ感じる。……大丈夫。俺は今無敵だから。そう心で唱えた後、風真は教会の扉に歩みながら辺りを見回して声を上げた。
     
    「七ツ森。いるのか?」
     
     ――返事はない。
     シン、とした静寂のみが風真を包み、パスケースを握った右手を胸に当てて風真は深くため息をついた。あれだけ響いた鐘の音も、もしかしたら幻聴だったのかもしれない。そもそもこんな闇の中、虫嫌いの七ツ森が草木を分けてこんな場所にくるはずもなかった。考えてみたらわかることなのに、やはり少し冷静さを欠いていたようだ。風真はそっと目の前の扉を引いてみる。……扉は動かない。
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