通信玉から姫の声がする。

（は？）

気づけば身体が勝手に動いていた。
ぷつりと通信を切り、コートを羽織る。「ちょっと出かけてくるから」と砦の者に言い残し、荷物も置いて空へ飛び出した。

魔王様の部屋に、姫がいる。

一体どういうことだろう。
最初からいた？　衣ずれの音や髪がなびく音、女性の気配などは、全部姫だったのか。
なんで隠した？　隠すような事案があったのか？？
……いや、そんなことはないと信じたい。
どうせ紛れ込んでしまったとか、姫が勝手に着いてきたとか、そういう他意のないことだろう。
でも、身体が勝手に動くのだ。
自らの目で確かめないと、納得できない。
はやる気持ちは飛行スピードに表れ、未だかつてない時速で移動している。

EosGentaro awakens to Ramuda's arms wrapped around his waist, the rumble of Dice's snoring, and gentle fingers running through his hair. Tempting is it to keep his eyes shut, to nestle into that strangely familiar warmth caressing him, but the pounding in his head refuses to relent. Try as he might to return to the land of dreams, sleep has forsaken him.