死がふたりを分かつまでヌヴィレットと僕の関係は周りから見たら騎士と王女という関係。
だからこの戦いに出る前にヌヴィレットは僕に騎士の誓いをしてくれた。
そして僕もヌヴィレットと約束した。死ぬ時は一緒だって……



この世界に蔓延る悪意。五年前に王都を崩壊させ、人々を殺し回る力。それこそがおとぎ話にある使徒の力である
僕にも宿っているその力。
使徒の力は魂を代価にするから何度も使えば命を落とす。だがその力強大で、国ひとつを簡単に破壊する。
その使徒の力を欲しがり世界をも変えようとしたのが教皇だった。
神聖国家のこの世界で教皇はとても力があった。しかし彼は野心家で、王になりたかった。しかしどう足掻いても王になることは不可能だった為に彼は使徒の力を集め新しい世界を作り、その新しい世界で王になることに決めた。

「好きだよ、一織」
　鼓膜を揺らして響いていく、甘いあまい声。もうやめてほしいと思った。繰り返される言葉、触れられた熱。深く海の底に閉ざしていた私の氷山が、氷山の一角に留めていた感情が、溶けて、溢れてしまいそうで怖かった。
　ため息をつき、逃げるように目を閉じる。真っ暗な視界の中、続く言葉を探す。どうか、私の思いに気づかないで。早く勘違いだと、冗談だとか言って笑って。その時はきっと、私も全て忘れてあなたの隣にいられるから。
「七瀬さん、私を見て。よく聞いてください。私があなたを、好きになることはありません。諦めてください」
　暖かい頬を包み込む、私の手は冷たかった。ぐっと目に力を入れる。絶対に逸らしてはいけない。揺らいではいけない。それは今告げた言葉を嘘にしてしまうから。私なら、パーフェクトな私なら、できるはずだ。