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    冬眠

    masasi9991

    DONE冬眠前の大ガマさん 土ガマ晩秋に


     夜にもなると少し冷える。夏は終わって、秋はあっという間に過ぎる。もうそろそろ冬の足音が聞こえるようだ。
     こう寒いと神経が鈍くなる。オレはどちらかというと夜に強い方なので、こんな冷える夜でも目ばかりは覚めているのだが。
     ぼんやり見上げる月が真っ白だ。十五夜はもうふた回り前になる。今夜の月は、冷えた空気の中で強く白く光っている。その強い眩しさに、どうしても頭に思い浮かべてしまうのは、あいつのことだ。どうにも似ているような気がする。土蜘蛛に。
    「大ガマ」
    「ゲコっ」
     急に声が聞こえて、びっくりして後ろにバタンと倒れた。天井でLEDの真っ白いライトがまるで昼間のような光を放っている。その中ににゅっと、土蜘蛛の顔が割り込んできた。
    「いつから居たんだ?」
    「なに、今しがただ。珍しがっておるようだな。たまには吾輩の方から、驚かしてやろうと思ったまでよ」
     と少し早口に弁明めいたことを言って、咳払いを一つ。
    「勝手に人の屋敷に上がるのは、日頃ならばお主のやることだが」
    「オレが来るたび、あんたは驚いてくれてたのか?」
    「いつも驚き呆れておる」
    「なんだ、素直じゃねえなあ」
     顔を 1420