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    コミックス

    ytd524

    DONEリクエスト
    お題:〇〇(コミックス未収録ネタを含むため、本文末尾にて紹介)

    ※少しだけ未来のお話
    ※事変のことは考えないでください
    ※オリキャラ視点
    ※コミックス未収録ネタを含みます

    リクエストありがとうございました!楽しかったです!
     むせ返るほどの、土の匂いだった。
     会合があるからとお父さんたちに連れてこられた本家の御屋敷。でも私はまだそんな話し合いに参加できる年齢じゃないから、用意してもらった離れの御座敷に寝転がって、お父さんたちの用事が済むのをぼーっと待っていた。
     そうしたらふと、外から土の匂いが漂ってきて、私は思わず障子を開けて庭を見たのだ。からり、と音を立てて開け放たれたその先で、明るい日差しが差し込む中で、涼しい空気がすぅ、と私の隣を通り過ぎていく。
     明るい空から、さぁ、と静かな音とともに、細い糸みたいな雨が降り注いでいた。

    (お天気雨だ)

     そうか、地面が濡れたから土の匂いも強くなったんだ。理由がわかって嬉しくなるとともに、私の体は無意識に縁側の外へと滑り落ちていた。しっとりと濡れた移動用の草履に足を通して、そのまま草の上を駆けていく。大人用のサイズだからちょっとだけパカパカとうるさいけれど、それでも濡れた土の上を歩く感触は、なんだかとても心地が良かった。
     庭をまっすぐ抜けて、本邸へ続く石橋を渡って。途中で少しだけ横道にそれて、また少しだけまっすぐ。その頃にはもう雨も上がっていて、私は雨上 3833