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    初恋

    kishi_mino

    DOODLE田舎の夏の話が書きたくなって導入だけ書いた。このあと豊前はお兄さんの家に通いまくって友達になるし、お兄さんに初恋する
    【ぶぜまつ】小六の夏休みに出会ったお兄さんの話 隣の家に、若いお兄さんが住みだしたらしい。
     らしい、と曖昧なのは、隣の家はなにせ百メートルは離れていたし、本当ならば高齢のおばあちゃんが一人で暮らしていたはずだし、こんな田舎には若いお兄さんなんているわけがないからだ。
     実際、豊前が両親に聞いてもそんな若い男は知らないと言っていた。もし村の人なら大人が知っているはずだから、豊前はその噂は誰かの嘘が面白半分に広まっているんだろうと結論付けて、しばらくそんな話を忘れていた。
     しかし、豊前は見てしまった。
     それは学校からの帰り道。夏休みに入るから、と学校の荷物を持って帰るように言われていた。習字セットや絵の具セットの袋を抱え、体育着の入った袋や上履きの袋がランドセルに揺られて暴れるのを邪魔に思いながら、うんしょうんしょと休み休み運びながら家へと向かう途中。もうすぐ家だ、と安堵を覚え、荷物を一旦置いて、ふう、と汗をぬぐった時だった。その時豊前が立ち止まったのが、その家の前だった。
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