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    チョイス

    しじみ

    DOODLEスバル君と隊長が香水を選んでいるだけの起伏のない二次創作の小ネタ。チョイスは完全なる独断と偏見だよ。
    なお、最後のペアフレグランスの使い方はモデルにした香水の公式が実際に提案しているよ!
    Perfume 真白い光が黒い石の床に落ちて磨き上げられたその表面に一層黒い影を映す。足音ひとつにも気を遣うような優雅な雰囲気にも、こんなフロアの片隅までほんのりと漂う柔らかく粉っぽい香りにも慣れない。スバルは勧められるまま背の高い椅子に腰かけてからずっと、瀟洒な造り付けの棚にずらりと並んだ様々な意匠の瓶を文字通り地に足のつかない心地で眺めていた。

     彼の隣の席から小さなテーブル越しに販売員と二言三言交わしていた男が振り返ったと思うと顔を見るなり鼻先から笑いを漏らす。
    「こういう所は初めて?」
    「……はい」
    スバルが慎重にいらえると隣の男、ケイトは少し目を細めてから自らも壁の棚に視線を投げかけた。

     スバルたちが訪れているのは百貨店の香水売り場。奇抜な形や模様の瓶やシンプルなガラスの内側に赤、青、緑と色とりどりの液体を湛えた瓶など、それぞれがオブジェのように個性的な顔をして並んでいるのは数多のメゾンの香水たちだ。そのひとつひとつが香る前から存在を主張しているようでスバルはいささか圧倒されていた。
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