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    開眼

    saga1913

    DONE開眼聞いて居ても立ってもいられなくなって書いたNB
    咲けよ徒花彼岸花「――助けてやろうか」

     ビル群に阻まれ四角く切り取られた夜空を見上げる。かろうじて覗く星々の輝きは人工の灯りに阻まれて朧気だ。地元の空も美しいとまでは言えなかったが、ここまで味気ないものではなかったはずだと柄にもなく郷愁に浸っていると、びゅうと一陣の風が吹き抜けた。視界の端で赤色の布がたなびく。

     繁華街の騒がしさを抜けた先にある高架下は不気味なほど静かだった。日中は工事をしていたらしく端材や重機が佇んだままで時折電車が線路を走る音はするものの、それ以外に人が近づくような気配はまったくない。隣に座る男から聞くに、イケブクロの街はお世辞にも治安が良いとは言えず、夜に出歩く人間は少ないらしい。きっかけは忘れたがこちらに来たばかりの頃、野宿をしようとしたところチンピラどもに絡まれたと話したことがある。よくも財布が無事だったとのたまうものだから、こいつで払ってやったのだと赤い布をたなびかせれば半ば呆れたように肩を竦めていたのだったか。思えば面倒を見ていたヤツを散々に叩きのめされて、怒りのまま拳を交えた相手と今やこうして肩を並べて戦っているのだから、人生とは分からないものだ。
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