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    佐藤

    しきしま

    DONE佐藤さん×朝陽(※養子縁組)殺風景だった佐藤さんの部屋に、少しずつ俺のものが増えてきた。置いてある歯ブラシは常に二本になり、枕元に灰皿も置かれた。読んだまま戻し忘れた漫画で、本棚は歯医者の待合室みたいになった。そんなふうにして、俺の帰る家は六本木になった。
     まだ一年目の新人が六本木に引っ越すのを上司は少し訝しがったが、家族がそこに住んでいるのだと言うと、納得したようだった。
     それももうすぐ、嘘ではなくなるはずだ。

    「ほんとうにいいのかな、朝陽」

     カーテンの隙間から覗く月を見つめながら、佐藤さんは呟くように言った。その言葉は、もううんざりするほど聞いていた。心の中をそのまま映し出すように、手に持ったワイングラスの中の赤が揺れている。
    佐藤さんの気持ちも分かる。
    だからこそ、なおさら俺はうんざりしていた。

    「俺はそうしたいよ。佐藤さんは違うの?」
    「僕もそう思うよ、でも……」

     佐藤さんは、困ったような顔で俺を見た。

    「朝陽の人生を縛るのはイヤなんだ」

     俺は、人生を縛られたつもりはなかった。自分の意志でこの部屋にいて、自分の意志で、佐藤さんの養子になろうとしているのだ。
     ただ、佐藤さんと家族にな 3219

    psychimma

    MOURNINGワンドロのお題佐藤くんで書こうと思ってたけど鳥の話ばかりになってしまったので没になったもの 高3鳥+斉 なかよし話「……」
     休み時間。
     高3の春なんて人生で一番きらびやかであざやかで貴重なそのひとときをまったく無為に浪費しながら、廊下からじとりと教室の中を観察する男が一人。
     その一見すると非常に悪目立ちしそうな、けれどこの世界では普通過ぎてすっかり風景に溶け込んでしまう、けれどその実とんでもなく非日常な力を持った超能力者は、談笑する生徒の群れを眺めながら臍を噛んだ。
     その胸に宿るのはささやかで切なる願い。
    (……ああ、僕も佐藤君と話したい……!)

     それで次の休み時間。
    ――鳥束、相談があるんだが……。
     と神妙な顔して話しかけてきた斉木に、まくった袖からじゃらじゃらと数珠のアクセサリーを覗かせて、早弁しながらエロ本を読むという平然とルールを逸脱しまくった霊能力者は、ポロリと箸を取り落とした。
     だって……、
    (さ、斉木さんがオレに相談……!?)
     無敵の超能力者が、わざわざ自分に頼るこということは……!?
     考えるまでもなく、答えはすぐに導き出された。周囲を見渡してから、身体を伸ばして耳打ち。
    「……次は誰ヤっちゃったんスか……?」
     ちげえよ、というツッコミがいつもの鋭さをほんのすこ 4868