8kawa_8
DONE大好きフォロワーッ!!!!!! お誕生日おめでとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ハイパー自惚れ力の強いレさんのフィガレノです。【フィガレノ】知らないよ、そんな感情なんて レノックスは冬の人。
そんな表現を最初に口にしたのは、たしかミチルだっただろうか。
彼らフローレス兄弟が生まれるよりも前に俺が羊飼いとしての仕事を斡旋したものだから。冬を除いて彼は人里に居なかった――という背景を踏まえれば、それはそうなのかもしれないが。彼の生まれは極寒の季節を過ぎて、初夏の気配が近づいてくる、そんな頃合いであったはずだし。そもそも彼は太陽の下で身体を動かし、人々のために尽くすことに幸福を抱くような、北の気配とも程遠い性格をしていたものだから。冬の、厳しい自然が牙をむくような季節が彼に相応しいとは俺には思えなかった。だからその印象を耳にした時に『ああ、固まった表情筋なんかは確かに冬っぽいかも……』だなんて方向性での同意しかできなくて、兄弟からの顰蹙をかったことは記憶に新しい。
3381そんな表現を最初に口にしたのは、たしかミチルだっただろうか。
彼らフローレス兄弟が生まれるよりも前に俺が羊飼いとしての仕事を斡旋したものだから。冬を除いて彼は人里に居なかった――という背景を踏まえれば、それはそうなのかもしれないが。彼の生まれは極寒の季節を過ぎて、初夏の気配が近づいてくる、そんな頃合いであったはずだし。そもそも彼は太陽の下で身体を動かし、人々のために尽くすことに幸福を抱くような、北の気配とも程遠い性格をしていたものだから。冬の、厳しい自然が牙をむくような季節が彼に相応しいとは俺には思えなかった。だからその印象を耳にした時に『ああ、固まった表情筋なんかは確かに冬っぽいかも……』だなんて方向性での同意しかできなくて、兄弟からの顰蹙をかったことは記憶に新しい。
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DONEフィガレノです。フォロワーのしんくさんのエイプリル作品のネタを拝借しました。あの素敵な題材をエイプリルフールオチ未完成作品で終わらせなんてしません(強い意志)
【フィガレノ】おれがねむるまで「俺、もう長生きできないんだよね」
とはいえ、それがいつまでかは分からないんだけど。
レイタ山の麓にある、何十年も前からレノックスが拠点としていたいくらか手狭な小屋の中。窓越しに見える星空の開放感に誘われるように口にした、装われたスープに入った少しだけ苦手な食材の話。それくらいの気楽さで、しかしあまりに重大な事柄を告げられた気がする。
全身が石にでもなったかのように硬直し、どうにか隙間を掻い潜った空気が外に漏れると、「はあ」と気の抜けた返事のような音に成った。そのレノックスの反応をどう受け取ったのか、フィガロは肩を竦ませて。「何日とは言わないけれども、せめて何ヶ月だとか何年だとかが分かればさ。準備のしようがあるのに」、と。普段通りの笑顔を浮かべながら、軽快に言葉を続けていく。
12292とはいえ、それがいつまでかは分からないんだけど。
レイタ山の麓にある、何十年も前からレノックスが拠点としていたいくらか手狭な小屋の中。窓越しに見える星空の開放感に誘われるように口にした、装われたスープに入った少しだけ苦手な食材の話。それくらいの気楽さで、しかしあまりに重大な事柄を告げられた気がする。
全身が石にでもなったかのように硬直し、どうにか隙間を掻い潜った空気が外に漏れると、「はあ」と気の抜けた返事のような音に成った。そのレノックスの反応をどう受け取ったのか、フィガロは肩を竦ませて。「何日とは言わないけれども、せめて何ヶ月だとか何年だとかが分かればさ。準備のしようがあるのに」、と。普段通りの笑顔を浮かべながら、軽快に言葉を続けていく。
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DONEフィガレノです。見る人を選ぶ作品です。元ネタ:しんく様のこのツイート(概ねこのツイートの通りなので、読了後の閲覧推奨)
https://twitter.com/pnz_zzz_z/status/1652263199939633159
あんまりにも好きすぎて、許可を頂いて書かせていただきました。ありがとうございます……。 8018
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DONEフィガレノです。文章リハビリ。北師弟がコイバナしたりする話です。私はちょっと女々しい攻と男前な受が好きです。【フィガレノ】その三秒のためだけに「まぁまぁ、フィガロちゃん。とりあえずなんかこう、元気出して?」
「そうそう、フィガロちゃん。何があったか知らないけど、笑っていこ?」
空が薄雲に隠された、ほの暗い静かな夜。その日に限っては見上げた空よりも、このバーの方が多くの煌めきに満たされていた。優しく妖しい照明が、グラスや液面での乱反射が、空間を美しく飾っている。
穏やかな表情でグラスを拭く店主の前では、一人の魔法使いが管を巻いていた。自称南の国の優しいお医者さんこと、フィガロ・ガルシアだ。彼の両脇には長寿の双子の魔法使い、スノウとホワイトが控えてその背中を優しく擦っている。
「すまぬな、シャイロックよ。我らの愛弟子が、そなたのバーにそぐわぬ品の無い飲み方をして……」
10973「そうそう、フィガロちゃん。何があったか知らないけど、笑っていこ?」
空が薄雲に隠された、ほの暗い静かな夜。その日に限っては見上げた空よりも、このバーの方が多くの煌めきに満たされていた。優しく妖しい照明が、グラスや液面での乱反射が、空間を美しく飾っている。
穏やかな表情でグラスを拭く店主の前では、一人の魔法使いが管を巻いていた。自称南の国の優しいお医者さんこと、フィガロ・ガルシアだ。彼の両脇には長寿の双子の魔法使い、スノウとホワイトが控えてその背中を優しく擦っている。
「すまぬな、シャイロックよ。我らの愛弟子が、そなたのバーにそぐわぬ品の無い飲み方をして……」
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DONEフィガレノです。リクエストいただいた内容に沿ったものに……なれているのかは不明です。【フィガレノ】隣立つ微熱の行方 ああ、さむい、さむい。
そんな戯言を繰り返し、ぴとりと肌を寄せる男を前にして。レノックスは対応に困っていた。
レノックスの体躯を前にすれば〝自分よりは小さい〟には分類されるが、それでも一般的な分類でいえば彼もそれなりの大男だ。おまけに、北の国出身の大魔法使いでもある。苛烈な自然と止まない雪、果てしない銀世界の大地に愛された男が、南の国如きの雪で、何を言っているのだろうかと。要するに白けた視線を向けるべきか、この茶番に付き合うべきであるのか、どうにも華々しくもない光景やシチュエーションを前に、レノックスは迷っていたのだ。
「きみ、今俺に呆れているだろう」
「バレてしまいましたか」
「俺の独り言に、黙って視線だけ向けている時はだいたいそうだ。いいかい、今の俺は南の国のか弱い魔法使いのお医者様なんだから。北の気候に慣れているから平気だなんて、そういう空気は出しちゃいけないんだよ」
3623そんな戯言を繰り返し、ぴとりと肌を寄せる男を前にして。レノックスは対応に困っていた。
レノックスの体躯を前にすれば〝自分よりは小さい〟には分類されるが、それでも一般的な分類でいえば彼もそれなりの大男だ。おまけに、北の国出身の大魔法使いでもある。苛烈な自然と止まない雪、果てしない銀世界の大地に愛された男が、南の国如きの雪で、何を言っているのだろうかと。要するに白けた視線を向けるべきか、この茶番に付き合うべきであるのか、どうにも華々しくもない光景やシチュエーションを前に、レノックスは迷っていたのだ。
「きみ、今俺に呆れているだろう」
「バレてしまいましたか」
「俺の独り言に、黙って視線だけ向けている時はだいたいそうだ。いいかい、今の俺は南の国のか弱い魔法使いのお医者様なんだから。北の気候に慣れているから平気だなんて、そういう空気は出しちゃいけないんだよ」