shishamon2525
DONEDQ2名物「風のマント」のお話。CPはないですが、CP未満描写は少しあります。元ネタは実際にゲームでやらかした案件です。風のマント「ねぇ、本当に飛ぶの?それで?」
通称“ドラゴンの角”と呼ばれる双塔の南塔側最上階。吹き抜ける海風を全身に受けながらアレンが風のマントを装着していると、後ろからカインが不安げに問いかけてきた。
「そうだけど。」
アレンは首だけ軽く後ろに捻って「それが、何か?」と言わんばかりにさらりと答える。
「そうだけど。じゃなくてさ、アレンはそれで本当に向う岸まで行けると思う?それ、ただのマントだよ。」
ただのマントというよりは、ただのマントよりずっと薄くて軽い羽のようなマントをカインはしげしげと見つめている。
「ただのマントじゃなくて『風のマント』。これを使えば向う岸に飛んで行けるって、カインも聞いてただろ?」
アレンは身につけたマントをふわりと翻しながら後ろのカインに向き直った。眉尻を下げたカインは心なしか髪までしなしなと垂れ下がってみえる。
2800通称“ドラゴンの角”と呼ばれる双塔の南塔側最上階。吹き抜ける海風を全身に受けながらアレンが風のマントを装着していると、後ろからカインが不安げに問いかけてきた。
「そうだけど。」
アレンは首だけ軽く後ろに捻って「それが、何か?」と言わんばかりにさらりと答える。
「そうだけど。じゃなくてさ、アレンはそれで本当に向う岸まで行けると思う?それ、ただのマントだよ。」
ただのマントというよりは、ただのマントよりずっと薄くて軽い羽のようなマントをカインはしげしげと見つめている。
「ただのマントじゃなくて『風のマント』。これを使えば向う岸に飛んで行けるって、カインも聞いてただろ?」
アレンは身につけたマントをふわりと翻しながら後ろのカインに向き直った。眉尻を下げたカインは心なしか髪までしなしなと垂れ下がってみえる。
shishamon2525
DONEDQ2、ロトの剣を手に入れた3人のSSです。CP要素はないつもりで書いてますが、如何様にもご想像いただいて大丈夫です。ロトの剣その剣は想像よりもずっと細身だった。
祖国の建国者たるご先祖様は竜を素手で倒すほど筋骨隆々だったと聞いていたから、その剣もまた大きく重く並みの者では扱えない、そんな代物だと思っていた。
事実、今までに入手したロトの兜も盾も重すぎてアレンしか装備できない。
(家宝の盾すら装備できないとは……)
サマルトリアの城で自分がロトの盾を装備できないと理解した時は思わず一人嗤ってしまった。その場に父も妹も居なかったことにホッとしている自分が少し意外だった。なんとなく自分には装備できないだろう、そう思っていた、分かっていたはずなのに。
「カイン、君が使わないか?」
不意に声をかけられ意識が現実に引き戻された。
「……へ?」
2792祖国の建国者たるご先祖様は竜を素手で倒すほど筋骨隆々だったと聞いていたから、その剣もまた大きく重く並みの者では扱えない、そんな代物だと思っていた。
事実、今までに入手したロトの兜も盾も重すぎてアレンしか装備できない。
(家宝の盾すら装備できないとは……)
サマルトリアの城で自分がロトの盾を装備できないと理解した時は思わず一人嗤ってしまった。その場に父も妹も居なかったことにホッとしている自分が少し意外だった。なんとなく自分には装備できないだろう、そう思っていた、分かっていたはずなのに。
「カイン、君が使わないか?」
不意に声をかけられ意識が現実に引き戻された。
「……へ?」
まみや
DOODLEDQ2クリア数年後、ムーンブルクの王女が国を復興して女王になる前夜の話。戴冠式前夜、ムーンブルクにて コツン、とひとつ、音がした。音がした方には、窓。
もう外はすっかり暗い。自然の明かりはほぼまん丸な月と数多の星だけではあるけれど、明日の戴冠式を控え、前夜祭が開催されているお城と町の灯りはいまだ絶えない。
式の挨拶の原稿から目を離し、ふう、と一息ついて、音がした窓の方へと歩く。お城の二階にある、自室の窓から下を覗けば、果たしてそこには。
「ローレ! サマル!」
たいまつを手にし、私に手を振るふたり。歳を重ねてあの頃よりも精悍になったふたりの姿は、あの頃と同じ、懐かしい旅装束で。こっちへ降りてこい、とでも言いたげな仕草と、悪戯めいた表情のふたりに、おもわず笑みが溢れる。
急いで衣裳箪笥を空けて、昔のローブを引っ張り出す。急いで着替えて、杖も持って! 準備を整え、私が窓枠に足をかけて飛び降りようとすると、ふたりは揃ってあんぐりと口を開けた。やがてふたりが慌てた様子で、手に持っていたたいまつを消し、地面に放り投げ、こちらに手を伸ばすのを見て、思いっきり飛び降りる。
1456もう外はすっかり暗い。自然の明かりはほぼまん丸な月と数多の星だけではあるけれど、明日の戴冠式を控え、前夜祭が開催されているお城と町の灯りはいまだ絶えない。
式の挨拶の原稿から目を離し、ふう、と一息ついて、音がした窓の方へと歩く。お城の二階にある、自室の窓から下を覗けば、果たしてそこには。
「ローレ! サマル!」
たいまつを手にし、私に手を振るふたり。歳を重ねてあの頃よりも精悍になったふたりの姿は、あの頃と同じ、懐かしい旅装束で。こっちへ降りてこい、とでも言いたげな仕草と、悪戯めいた表情のふたりに、おもわず笑みが溢れる。
急いで衣裳箪笥を空けて、昔のローブを引っ張り出す。急いで着替えて、杖も持って! 準備を整え、私が窓枠に足をかけて飛び降りようとすると、ふたりは揃ってあんぐりと口を開けた。やがてふたりが慌てた様子で、手に持っていたたいまつを消し、地面に放り投げ、こちらに手を伸ばすのを見て、思いっきり飛び降りる。
まみや
DOODLEDQ2、サマルトリアの王子がハーゴンの呪いにかかって、世界樹の葉を持ってきた時の話。ずいぶん潔く諦めようとしていたので、そんな感じなのか、とびっくりして書いた。昔の話 子供の頃から、僕、病弱だったんですよ。熱を出して寝込むのはしょっちゅうで、大きな病気をして死にかけたこと、何度もあるし。だから体力がなくて、重い鎧は着られないし、剣の腕前なんか、巷で評判のローレシアの王子とは比ぶべくもなく、だからせめて魔法でも覚えようかと、こっそり練習したりして。
あと、運も悪いんです。覚えてますか? サマルトリアのお城にね、宝箱置いてあったでしょう? 金の鍵じゃないと開かない所にあって、池に囲まれてて、そうそう、ロトの鎧が入ってた。あそこに鍵がかかってたの、僕があの池にはまって溺れそうになっちゃったからなんですよ。二度とそんなことないようにって。そうそう、旅に出て、ローレと合流しようと思ったのに散々行き違いになったこともありましたね。しまいにはハーゴンの呪いにかかるなんて、もう…。笑っちゃいますよね。
598あと、運も悪いんです。覚えてますか? サマルトリアのお城にね、宝箱置いてあったでしょう? 金の鍵じゃないと開かない所にあって、池に囲まれてて、そうそう、ロトの鎧が入ってた。あそこに鍵がかかってたの、僕があの池にはまって溺れそうになっちゃったからなんですよ。二度とそんなことないようにって。そうそう、旅に出て、ローレと合流しようと思ったのに散々行き違いになったこともありましたね。しまいにはハーゴンの呪いにかかるなんて、もう…。笑っちゃいますよね。