ヤマダカナ
DONE2021.10.23独二Webオンリーの展示用です。
独二の日を記念して掲載します!
※モブも出るよ
※深海戦隊シンカイジャーについては「星屑セブンデイズ」をご覧下さい。ピクシブにてWEB再録しています。
※田中と鈴木については二人が出てくるお話をポイピクへ載せていますので気になった方はぜひ
※男同士が普通に結婚できる世界線
【独二】独歩と二郎とその周りの人たちのお話 第一章 二郎と独歩が付き合っていることを知ってしまった三郎の話 二郎は顔に出やすい。
昔からそうだった。遊んでいて施設の窓ガラスを割ったときも、お気に入りの傘を振り回して壊したときも、テストで悪い点数を取ったときも。いや、最後のは顔を見なくてもいつも悪い点数なのでやっぱりナシ。
そんな感じで顔を見ればどんなことを考えているのか、何が言いたいのかだいたいは想像が付くような分かりやすい兄だが、この顔だけは正直見たくなかったし知りたくもなかった。
「何だよ、三郎」
「……何でもない馬鹿」
「はぁ? バカって言う方がバカなんだぞ、バ~カ!」
「馬鹿はお前だ」
可愛くねぇな、と口を尖らせながら再び視線をスマホに戻す。もちろん画面は対角線上に座っている僕からは見えないけれど容易に想像ができた。
7785昔からそうだった。遊んでいて施設の窓ガラスを割ったときも、お気に入りの傘を振り回して壊したときも、テストで悪い点数を取ったときも。いや、最後のは顔を見なくてもいつも悪い点数なのでやっぱりナシ。
そんな感じで顔を見ればどんなことを考えているのか、何が言いたいのかだいたいは想像が付くような分かりやすい兄だが、この顔だけは正直見たくなかったし知りたくもなかった。
「何だよ、三郎」
「……何でもない馬鹿」
「はぁ? バカって言う方がバカなんだぞ、バ~カ!」
「馬鹿はお前だ」
可愛くねぇな、と口を尖らせながら再び視線をスマホに戻す。もちろん画面は対角線上に座っている僕からは見えないけれど容易に想像ができた。
ヤマダカナ
DONE2019年10月に書いた独二の別れ話のその後!【独二】約束のない待ち合わせ「俺、ちゃんと普通に出来てたかな」
肌寒い秋風が彼の少し震えた言葉を運んできてくれたのは、もう三年も前になる。
傍に居るのが当たり前で、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、彼の笑顔ひとつでどこまでも頑張れるような気がしていたあの頃。
年齢だって一回りも違う。趣味も、交友関係も、好きな音楽も好きなテレビ番組も、何もかもが違っていた俺たちだけど、その間には確かに存在していた。恥ずかしいけれど、それは愛とか、そういう類いのものだ。
俺は彼が好きだった。三年前のあの日も、きっと心の奥底では「離れたくない」と声にならない声で叫んでいたはずだ。
しかし、俺たちが別れたのはお互いに話し合って納得して決めた別れだった。喧嘩したとか、どちらかに好きな人が出来てしまっただとか、そういう感じではなく、これ以上一緒に居ても何にもならない、と分かってしまったからだった。
5309肌寒い秋風が彼の少し震えた言葉を運んできてくれたのは、もう三年も前になる。
傍に居るのが当たり前で、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、彼の笑顔ひとつでどこまでも頑張れるような気がしていたあの頃。
年齢だって一回りも違う。趣味も、交友関係も、好きな音楽も好きなテレビ番組も、何もかもが違っていた俺たちだけど、その間には確かに存在していた。恥ずかしいけれど、それは愛とか、そういう類いのものだ。
俺は彼が好きだった。三年前のあの日も、きっと心の奥底では「離れたくない」と声にならない声で叫んでいたはずだ。
しかし、俺たちが別れたのはお互いに話し合って納得して決めた別れだった。喧嘩したとか、どちらかに好きな人が出来てしまっただとか、そういう感じではなく、これ以上一緒に居ても何にもならない、と分かってしまったからだった。
ヤマダカナ
DONE8/22夏インテにて頒布予定だった独二夏の短編集(コピ本)よりその2!
【独二】線香花火が終わる前に 見て、買ってきた。
そう言って差し出されたのはどこか懐かしさの残る線香花火だった。
花火セットの中には必ずと言っていいほど入っていて、どちらかというと最後まで残る、いわゆる不人気なのが線香花火だ。
勢いよく火花が噴き出すタイプの手持ち花火とは違って、控えめにパチパチと火花が飛び散る線香花火は花火の締めに「先に落とした方が負け」などと罰ゲーム要素を加えて消費したりしていた。
「線香花火だけ買ってきたのか?」
「だってベランダで爆竹やったら怒るだろ」
「怒るというか普通に通報されるだろうけど」
「だから線香花火。これならいいだろ?」
にっこり笑ったあとに、ベランダに置いてあったバケツに水を入れてテキパキと準備を始め、一二三が育てているプチトマトなどを安全な場所へ避難させた。
1553そう言って差し出されたのはどこか懐かしさの残る線香花火だった。
花火セットの中には必ずと言っていいほど入っていて、どちらかというと最後まで残る、いわゆる不人気なのが線香花火だ。
勢いよく火花が噴き出すタイプの手持ち花火とは違って、控えめにパチパチと火花が飛び散る線香花火は花火の締めに「先に落とした方が負け」などと罰ゲーム要素を加えて消費したりしていた。
「線香花火だけ買ってきたのか?」
「だってベランダで爆竹やったら怒るだろ」
「怒るというか普通に通報されるだろうけど」
「だから線香花火。これならいいだろ?」
にっこり笑ったあとに、ベランダに置いてあったバケツに水を入れてテキパキと準備を始め、一二三が育てているプチトマトなどを安全な場所へ避難させた。
ヤマダカナ
DONE8/22夏インテにて頒布予定だった独二夏の短編集(コピ本)より繋がっていない短編集で、関係性は徐々に近くなる予定でした。
全6本の短編中、4本だけ書き終わっていましたのでアップいたします。
楽しんでいただけると嬉しいです。
途中で終わってしまいごめんなさい。
【独二】ぜんぶ夏のせいにして 蝉の鳴き声がいつからか生活音の一部になり、気にもならなくなったころ。拭っても拭っても湧き水のように溢れ出る汗をハンカチに吸い込ませてゆく。
営業成績が特別良いわけでもなく、かと言って全然ダメというわけでもないと自負している平凡な営業社員に営業車など与えてもらえるはずもなく、こうして汗を流しながら外回りをしている。
「……少し休んでも良いんだぞ」
嫌になるほど照りつけてくる太陽に向かって何となく呟いてみるけれど、こんなちっぽけな声が届くはずもなく、肌をじりじりと焦がす。
次のアポまで少し時間があったので耐えきれずコンビニに駆け込むとアイスコーナーの前で見覚えのある後ろ姿を見つけた。
暑くて一刻も早く冷たいものを摂取したかった俺は、知り合いに構っている余裕などなかったので、気付かないふりをしてアイスコーナーの一番端にあった良心的な価格のソーダのアイスを手に取った。
1384営業成績が特別良いわけでもなく、かと言って全然ダメというわけでもないと自負している平凡な営業社員に営業車など与えてもらえるはずもなく、こうして汗を流しながら外回りをしている。
「……少し休んでも良いんだぞ」
嫌になるほど照りつけてくる太陽に向かって何となく呟いてみるけれど、こんなちっぽけな声が届くはずもなく、肌をじりじりと焦がす。
次のアポまで少し時間があったので耐えきれずコンビニに駆け込むとアイスコーナーの前で見覚えのある後ろ姿を見つけた。
暑くて一刻も早く冷たいものを摂取したかった俺は、知り合いに構っている余裕などなかったので、気付かないふりをしてアイスコーナーの一番端にあった良心的な価格のソーダのアイスを手に取った。
ヤマダカナ
DONE【独二】ツイッターでアンケートさせてもらったお題を元に書きました。
「初めてのキス」「二郎の部屋」「夏」のワードです。
【独二】二郎の部屋で初めてのキスをする独二の夏 容赦なく照りつけてくる太陽に文句を言いながら少し汗ばんだ指先でチャイムを押した。
しばらく外で待っていると慌ただしい足音が聞こえてきて勢いよく玄関のドアが開くと、中から笑顔を浮かべた恋人が俺の名前を呼んだ。
「マジごめん、宿題のノルマ終わるまで出掛けんなって言われてっから中でちょっと待ってて」
「えっ、一郎くんとか居るのか? だったら挨拶を、」
「誰も居ねぇよ。独歩が来るまでに終わらせようと思ってたんだけど意味不明すぎて無理だった」
誰も居ない、という二郎くんの言葉にほっと胸をなでおろした。
年下の恋人は夏休みの宿題をしないといけない年齢ということで、俺たちの関係は大っぴらにできるようなものではない。彼の兄や弟には二郎くんから話をしてくれたようだけど、その結果を聞かされていないのであまり良いものではなかったのかもしれない。
3374しばらく外で待っていると慌ただしい足音が聞こえてきて勢いよく玄関のドアが開くと、中から笑顔を浮かべた恋人が俺の名前を呼んだ。
「マジごめん、宿題のノルマ終わるまで出掛けんなって言われてっから中でちょっと待ってて」
「えっ、一郎くんとか居るのか? だったら挨拶を、」
「誰も居ねぇよ。独歩が来るまでに終わらせようと思ってたんだけど意味不明すぎて無理だった」
誰も居ない、という二郎くんの言葉にほっと胸をなでおろした。
年下の恋人は夏休みの宿題をしないといけない年齢ということで、俺たちの関係は大っぴらにできるようなものではない。彼の兄や弟には二郎くんから話をしてくれたようだけど、その結果を聞かされていないのであまり良いものではなかったのかもしれない。
ヤマダカナ
DONE【独二】Twitterで呟いたやつを書きました!
普段は男前で人前でも平気で手とか繋いでくる2️⃣だけど、何故か抱きしめる時だけは恥ずかしがって顔を見せてくれない。👔の肩に顔を埋めたまま「ぜってー見んなよ!」って耳まで真っ赤にして言ってくるので可愛くて仕方ないしいつか絶対に見てやろうと思っている👔さん。付き合って3ヶ月……
【独二】砕け散ったら拾い集めて 二郎くんは強い子だと思う。
強いって言っても喧嘩とかそういう身体的な部分もだけど、精神的にも強い方だと思っている。たぶん、頭の回転は速い方じゃなくてどちらかと言うと直感で動くようなタイプだけど、相手の雰囲気を感じ取って上手く立ち回ることができる。二郎くん本人はそんなこと気付いていないと思うけど。
どうして俺がそんなことを思うのかと言うと、俺自身が二郎くんのそういうところに助けられているからだ。仕事で疲れている日とか、嫌なことが会った日とか、二郎くんと会うときは負の感情を出さないように頑張って笑顔を貼り付けているつもりだけど、二郎くんが自然と「今日は独歩の家でゆっくりしようぜ」と笑顔で手を引いてくれる。
3211強いって言っても喧嘩とかそういう身体的な部分もだけど、精神的にも強い方だと思っている。たぶん、頭の回転は速い方じゃなくてどちらかと言うと直感で動くようなタイプだけど、相手の雰囲気を感じ取って上手く立ち回ることができる。二郎くん本人はそんなこと気付いていないと思うけど。
どうして俺がそんなことを思うのかと言うと、俺自身が二郎くんのそういうところに助けられているからだ。仕事で疲れている日とか、嫌なことが会った日とか、二郎くんと会うときは負の感情を出さないように頑張って笑顔を貼り付けているつもりだけど、二郎くんが自然と「今日は独歩の家でゆっくりしようぜ」と笑顔で手を引いてくれる。