【独二】独歩と二郎とその周りの人たちのお話 第一章 二郎と独歩が付き合っていることを知ってしまった三郎の話 二郎は顔に出やすい。
昔からそうだった。遊んでいて施設の窓ガラスを割ったときも、お気に入りの傘を振り回して壊したときも、テストで悪い点数を取ったときも。いや、最後のは顔を見なくてもいつも悪い点数なのでやっぱりナシ。
そんな感じで顔を見ればどんなことを考えているのか、何が言いたいのかだいたいは想像が付くような分かりやすい兄だが、この顔だけは正直見たくなかったし知りたくもなかった。
「何だよ、三郎」
「……何でもない馬鹿」
「はぁ? バカって言う方がバカなんだぞ、バ~カ!」
「馬鹿はお前だ」
可愛くねぇな、と口を尖らせながら再び視線をスマホに戻す。もちろん画面は対角線上に座っている僕からは見えないけれど容易に想像ができた。
7785