kikhimeqmoq
DONEチヒ柴 2024/12/30 付き合ってない千紘17歳大晦日に昔の仲間と飲み会をしている薊柴を迎えに行く千紘の話
ビールでええんちゃう「あっ!きたきた!チヒロ君きた!」
騒がしい店内を覗き、入口で戸惑っていた俺を、薊さんは手を上げて呼んだ。
「とりあえず、座りな」
薊さんは俺をスマートに引き寄せ。座ったのと同時にメニューを渡した。流れるような無駄のない動きだった。
「なんか飲む?」
「ビールでええんちゃう?」
「柴はちょっと黙っておきなよ。ビールでいいなら、これは来たばかりで誰も口をつけてないから飲みな」
受け取ったジョッキを口に運ぼうとして、薊さんに止められた。ちょっちょっちょっ、ちょっと待って。
慌てて机の端から飲みかけのグラスを持ってきた薊さんは、それを俺のジョッキにコツンと当てた。そうか、これが乾杯ってやつか。
「乾杯。大晦日に急に呼び出してごめんね」
2020騒がしい店内を覗き、入口で戸惑っていた俺を、薊さんは手を上げて呼んだ。
「とりあえず、座りな」
薊さんは俺をスマートに引き寄せ。座ったのと同時にメニューを渡した。流れるような無駄のない動きだった。
「なんか飲む?」
「ビールでええんちゃう?」
「柴はちょっと黙っておきなよ。ビールでいいなら、これは来たばかりで誰も口をつけてないから飲みな」
受け取ったジョッキを口に運ぼうとして、薊さんに止められた。ちょっちょっちょっ、ちょっと待って。
慌てて机の端から飲みかけのグラスを持ってきた薊さんは、それを俺のジョッキにコツンと当てた。そうか、これが乾杯ってやつか。
「乾杯。大晦日に急に呼び出してごめんね」
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DONEチヒ柴/国柴 2024/12/24クリスマスイブにチヒ柴がキスをする話なんですが、国柴前提です。
サンタの秘密を知っているか「クリスマスはサンタが来るんだってチヒロが言ってんだけどな」
サンタなんて、どこで知ったんだか。
六平は口を右に左に器用に動かしながら呟いた。
町との交流はなく陸の孤島のような山で暮らす六平家には、新聞も届かない。テレビとラジオの機体はあるのだが、押入れの奥に仕舞われたまま、前に見かけた時は埃を被っていた。雑誌は俺が定期的に持ってくるが、それ以外の情報源は無に等しい。
チヒロ君に絵本を届けることがあるけれど、選ぶのは電車や動物の本ばかりだ。あとは武器の図録か。どんな幼児も抗えないというパンの絵本を持ってきたこともあるのだが、チヒロ君は一瞥すらしなかった。一瞬も興味を示さない。面白くなった俺はデカい声で音読した。「僕の顔をお食べよ!」。しかしそれでもチヒロ君は興味を示さず、動物図鑑を開いて虎の縞の数を一生懸命数えていた。チヒロ君、君はやっぱり六平の息子やな。センス悪いわ。
4940サンタなんて、どこで知ったんだか。
六平は口を右に左に器用に動かしながら呟いた。
町との交流はなく陸の孤島のような山で暮らす六平家には、新聞も届かない。テレビとラジオの機体はあるのだが、押入れの奥に仕舞われたまま、前に見かけた時は埃を被っていた。雑誌は俺が定期的に持ってくるが、それ以外の情報源は無に等しい。
チヒロ君に絵本を届けることがあるけれど、選ぶのは電車や動物の本ばかりだ。あとは武器の図録か。どんな幼児も抗えないというパンの絵本を持ってきたこともあるのだが、チヒロ君は一瞥すらしなかった。一瞬も興味を示さない。面白くなった俺はデカい声で音読した。「僕の顔をお食べよ!」。しかしそれでもチヒロ君は興味を示さず、動物図鑑を開いて虎の縞の数を一生懸命数えていた。チヒロ君、君はやっぱり六平の息子やな。センス悪いわ。
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DONEチヒ柴 2024/11/03チヒロの小さい頃の思い出と、付き合ってからキスをしているチヒ柴。
「歯医者」「変態」「マントヒヒ」山のふもとに歯医者があった。チビの頃は年に一回検診に行った。歯医者の隣には卵と野菜の無人販売所があり、週に一度、晴れた日には坂を下り買い物に行くのが俺の大事な役目だった。俺を送り出す父さんが「初めてのおつかいだなぁ!」と笑い、「全然初めてじゃないじゃん」と言って出発するのがお約束だった。
無人販売所というのは看板にそう書いてあったからだ。父さんの喋る声と同じ調子の、デカくて太くて勢いのある字の看板だった。けれども、そこにはいつもお婆さんがひとり座っていた。看板に偽りありだ。大ありだ。座っているお婆さんの顔は皺くちゃだった。図鑑に載っているマントヒヒを思い出したが、もちろんそのことを伝えた記憶はない。ヒヒ婆さんは色があせた小花柄のシャツに紺色のチェックのもんぺを着て、擦りきれた草履を履いていた。毎回同じ服だったように思うのだけど、俺の記憶違いなのか、それとも本当に同じ服ばかり持っていたのかは分からない。
3190無人販売所というのは看板にそう書いてあったからだ。父さんの喋る声と同じ調子の、デカくて太くて勢いのある字の看板だった。けれども、そこにはいつもお婆さんがひとり座っていた。看板に偽りありだ。大ありだ。座っているお婆さんの顔は皺くちゃだった。図鑑に載っているマントヒヒを思い出したが、もちろんそのことを伝えた記憶はない。ヒヒ婆さんは色があせた小花柄のシャツに紺色のチェックのもんぺを着て、擦りきれた草履を履いていた。毎回同じ服だったように思うのだけど、俺の記憶違いなのか、それとも本当に同じ服ばかり持っていたのかは分からない。
しまっちゃおうね
DOODLEpass【なんでも許せる人ですか?】yes/no一足遅いけど、波に乗りたかった🌊🏄♂️
チヒ柴の人間が描いてます。
このジャンルって伏字ってなに…?kgr鉢?kgrbc?kgrbt? 2
kikhimeqmoq
DONEチヒ柴 2024/10/15柴さんお誕生日おめでとう。
16歳のチヒロと柴さんが、柴さんのお誕生日に焼肉に行く話です。
柴さん誕生日2024柴さんの誕生日を知ったのは東京に来てからのことだった。スピード違反で切符をきられた柴さんが、運転免許証を取り出したことで、初めて誕生日を知った。
「今日、誕生日じゃないですか」
「ああ、そう。知らんかったか」
自分の誕生日はチビの頃から毎回祝ってもらっていたのに。柴さんは毎年プレゼントをくれた。蛍光色に光るスライムや、指を挟むガムのジョークグッズ、どうみてもガチャガチャで取ってきたちゃちなバッタのミニチュアなど、正直いらないものばかりだった。でも、一緒に持ってきてくれるケーキは美味しくて、誕生日の数日前から待ち遠しくてソワソワしていたのを覚えている。当日の夜になると電灯を消し、年齢分のろうそくを灯して、三人で吹き消した。いちばん張り切っていたのは父さんだったし、おそらく炎を吹き消したのも父さんの息だった。でも、そんなことはどうでも良かった。「せーの」と声を揃え、一斉に息を吸う瞬間、三人で力一杯息を吹きつける瞬間、炎が消え真っ暗になった部屋で笑い合うあの瞬間が好きだったから。もちろんケーキはすごく美味しかった。都会の味だ。父さんが半分以上欲しがったけど、そこは譲れなかったから、俺は父さんの攻撃を必死で避け、自分のケーキを守った。柴さんは煙草をふかしながら、俺たちの戦いをゆったりと眺めていた。
3029「今日、誕生日じゃないですか」
「ああ、そう。知らんかったか」
自分の誕生日はチビの頃から毎回祝ってもらっていたのに。柴さんは毎年プレゼントをくれた。蛍光色に光るスライムや、指を挟むガムのジョークグッズ、どうみてもガチャガチャで取ってきたちゃちなバッタのミニチュアなど、正直いらないものばかりだった。でも、一緒に持ってきてくれるケーキは美味しくて、誕生日の数日前から待ち遠しくてソワソワしていたのを覚えている。当日の夜になると電灯を消し、年齢分のろうそくを灯して、三人で吹き消した。いちばん張り切っていたのは父さんだったし、おそらく炎を吹き消したのも父さんの息だった。でも、そんなことはどうでも良かった。「せーの」と声を揃え、一斉に息を吸う瞬間、三人で力一杯息を吹きつける瞬間、炎が消え真っ暗になった部屋で笑い合うあの瞬間が好きだったから。もちろんケーキはすごく美味しかった。都会の味だ。父さんが半分以上欲しがったけど、そこは譲れなかったから、俺は父さんの攻撃を必死で避け、自分のケーキを守った。柴さんは煙草をふかしながら、俺たちの戦いをゆったりと眺めていた。
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DONEチヒ柴。チヒロが16歳か17歳くらい。付き合ってない。解釈開陳ポエムです。不思議な踊り寝ている柴の頬に指を乗せた。三十代男性の平熱がどの程度がは知らないが、いつ触ってもあたたかいと思う。今日は千紘のミスがあり、薄い切り傷ができたせいか、平時よりも熱い気がする。自分の唇で確認しても、彼の体温が高いか低いかは分からなかった。とにかく自分の唇が冷たいので、比較しようがない。唇だけ死を引きずってきたのかもしれない。今日、切り殺した奴らの名前も知らないのに、冷たさだけが繋がっているのは面白くなかったので、その考え方はやめた。おそらく、千紘の唇は国重が死んだときから冷たい。唇だけではなく手足も、心臓も。
音をたてないようにゆっくりと柴の上に屈み、そっと唇を合わせた。柴の唇はあたたかく、柔らかく、滑らかだった。冷たく、硬く、かさついた自分とは違う。じっと粘膜を合わせていると、徐々に自分もあたたかくなってくるような気がした。自分と同じように毘灼を憎み、人を切り、周囲を裏切っているのに、ちゃんとあたたかみがあるのはどうしてだろう。大人になれば自分もそうなるんだろうか。それとも、いたずらをして冗談を言えるようになればいいんだろうか。それならば国重の唇もあたたかかったんだろう。
1500音をたてないようにゆっくりと柴の上に屈み、そっと唇を合わせた。柴の唇はあたたかく、柔らかく、滑らかだった。冷たく、硬く、かさついた自分とは違う。じっと粘膜を合わせていると、徐々に自分もあたたかくなってくるような気がした。自分と同じように毘灼を憎み、人を切り、周囲を裏切っているのに、ちゃんとあたたかみがあるのはどうしてだろう。大人になれば自分もそうなるんだろうか。それとも、いたずらをして冗談を言えるようになればいいんだろうか。それならば国重の唇もあたたかかったんだろう。