PoisonOakUrushi
LÀM XONGきじあまでチュッチュッしちゃった話初心 鬼島と天生目が、まだ小学生だった時の話。
その頃から一緒にいる割にお互い好きに過ごし、たまに取り留めなく会話をするのが常だった。そんな風にいつも通り過ごしていたある日。
「空良はだれか好きな子いるの?」
読んでいた雑誌の影響か、天生目が澄ましつつも面白がっている顔で鬼島を見ていた。
「おまえ」
考えるより先に自然と口から出た言葉は、妙にすっと胸に馴染んで〝あぁ、オレはこいつが好きなのか〟と、この時初めて鬼島は自覚する。
「そういう意味じゃないよ」
けれど天生目はきょとりとした後、直ぐにカラカラと笑って言うと雑誌に目を戻してしまう。幼い鬼島は天生目の言う『意味』がよく分からず困惑したが〝フラれた〟と、言う事は直感的に理解出来てしまった。
2617その頃から一緒にいる割にお互い好きに過ごし、たまに取り留めなく会話をするのが常だった。そんな風にいつも通り過ごしていたある日。
「空良はだれか好きな子いるの?」
読んでいた雑誌の影響か、天生目が澄ましつつも面白がっている顔で鬼島を見ていた。
「おまえ」
考えるより先に自然と口から出た言葉は、妙にすっと胸に馴染んで〝あぁ、オレはこいつが好きなのか〟と、この時初めて鬼島は自覚する。
「そういう意味じゃないよ」
けれど天生目はきょとりとした後、直ぐにカラカラと笑って言うと雑誌に目を戻してしまう。幼い鬼島は天生目の言う『意味』がよく分からず困惑したが〝フラれた〟と、言う事は直感的に理解出来てしまった。
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QUÁ KHỨ【文字書きの為の言葉パレット】 https://twitter.com/x_ioroi/status/1129787486861848577を使用したきじあまの短文 14
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QUÁ KHỨ鬼島、天生目、葉月で写真を撮る話写真「お願い! 鬼島くん! 一晩でいいから、天生目くん貸して!!」
「天生目は物じゃねぇんだが……」
吉走寺駅前にある、バー黒兎。閑古鳥が良く鳴く義母の店は、鬼島空良にとって幼馴染で親友の天生目聖司との溜まり場でもあった。最近は、八月に起きた怪異と呼ばれる存在のせいで増えた人間関係により、義妹の愛海の友達、ツケで飲もうとするダメ親父、金払いは良いが神出鬼没の女マジシャンが加わった。
そして今、準備中の店へやけに真剣な表情でやって来ると、開口一番、土下座せん勢いで謎のお願いをして来たのは、愛海の友達、オカルト狂いの葉月薫。
鬼島は困惑に目を瞬きながら、那津美と愛海が不在である事に安堵した。
「ってか、貸すってなんだ、貸すって」
7773「天生目は物じゃねぇんだが……」
吉走寺駅前にある、バー黒兎。閑古鳥が良く鳴く義母の店は、鬼島空良にとって幼馴染で親友の天生目聖司との溜まり場でもあった。最近は、八月に起きた怪異と呼ばれる存在のせいで増えた人間関係により、義妹の愛海の友達、ツケで飲もうとするダメ親父、金払いは良いが神出鬼没の女マジシャンが加わった。
そして今、準備中の店へやけに真剣な表情でやって来ると、開口一番、土下座せん勢いで謎のお願いをして来たのは、愛海の友達、オカルト狂いの葉月薫。
鬼島は困惑に目を瞬きながら、那津美と愛海が不在である事に安堵した。
「ってか、貸すってなんだ、貸すって」
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QUÁ KHỨきじあまでポッキー&プリッツの日遊戯 いつもの様に遊びに来た天生目だったが、様子はいつもと違っていて、鬼島は軽く首を傾げた。隣に座りながらも何処かソワソワと落ち着きが無く、持ってきた菓子を咥えると、何か言いたそうに鬼島を伺う。しかし、止めては眉を顰めて、緑の菓子箱を睨む様に眺めながら食べ進めると言うのを繰り返していて、気付かないフリをし続けている鬼島ではあったが、実際は気になって仕方が無かった。
家の仕事の事か、単に親父さんと喧嘩でもしたのか。聞いても良いのか、聞かない方が良いのか。
心配が苛立ちに変わり始め、いい加減、殴ってでも白状させようか、と鬼島が思い始めたその矢先。
「空良」
緊張した様な強張った声で呼ばれ、顔を向ける。矢鱈と真剣な目をした天生目が真っ直ぐに鬼島を見ていた。
1576家の仕事の事か、単に親父さんと喧嘩でもしたのか。聞いても良いのか、聞かない方が良いのか。
心配が苛立ちに変わり始め、いい加減、殴ってでも白状させようか、と鬼島が思い始めたその矢先。
「空良」
緊張した様な強張った声で呼ばれ、顔を向ける。矢鱈と真剣な目をした天生目が真っ直ぐに鬼島を見ていた。
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QUÁ KHỨきじあまで煙草ごっこ偽煙 コンビニで、ふと目に付いた懐かしいお菓子。若い組員から貰った駄菓子は、大人びたい年齢の子供に丁度良いデザインで、空良と一緒に大人の真似遊びをしながら食べた思い出の味。当時、下っ端だった組員も今は中堅。懐かしさに一箱手にすると、ジュースの代わりにレジへと向かった。
※※※
古い金属の階段を音を立てて登り、向かう部屋は奥から2番目。
「僕だ、空良。いるなら開けてくれないかい」
ドアベルを鳴らして声を掛けると、人の動く音の後に扉が開いた。
「調子はどうだい? 親友」
「何の用だ、天生目」
出迎えに挨拶を交わしながら、部屋へと入る。机の上に広がる雑誌から、読み物をしていたらしい。空良は連絡の無い突然の訪問に、少しばかり首を傾げていた。
2573※※※
古い金属の階段を音を立てて登り、向かう部屋は奥から2番目。
「僕だ、空良。いるなら開けてくれないかい」
ドアベルを鳴らして声を掛けると、人の動く音の後に扉が開いた。
「調子はどうだい? 親友」
「何の用だ、天生目」
出迎えに挨拶を交わしながら、部屋へと入る。机の上に広がる雑誌から、読み物をしていたらしい。空良は連絡の無い突然の訪問に、少しばかり首を傾げていた。
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QUÁ KHỨきじあまでホワイトデー我儘 ペラペラと捲る雑誌は格闘技の記事ばかり。そもそもが、そう言う雑誌だけを買っているのだから当たり前なのだが、求める答えやヒントの無さに、がっかりと溜息を溢す。
「って」
後頭部への軽い衝撃に振り向けば、ベッドの上を陣取る天生目に、蹴飛ばされたらしい。本で顔を隠しつつも隠れない不機嫌な気配に、言いたい事は山とあれど、撤退を余儀なくされる。
どうやら溜息がお気に召さなかったのだろうと見当は付くが、そもそもの不機嫌の理由には心当たりが無く、鬼島は眉を潜めて雑誌へ向き直ると、読んでるフリをしながら必死にこれ迄を振り返った。
今日の朝は、ホワイトデーとは男性が女性に菓子を贈る日ではなかったかと、なけなしの知識で鬼島は首を傾げていた。とは言え、鬼島に手作りのクッキーをくれたのは、義母の那津美と義妹の愛海である。何くれとなく心配をして世話を焼こうとする那津美から、何かに付けても付けなくても、差し入れをされる事は多々あるので、礼を言いながら受け取った。その量が若干多い気がしたが、クッキーを見る愛海の目の輝きで、理由は直ぐに理解した。元々、甘い物は得意で無い事も有り、食後のデザートとして活用される事が決まった瞬間である。
2181「って」
後頭部への軽い衝撃に振り向けば、ベッドの上を陣取る天生目に、蹴飛ばされたらしい。本で顔を隠しつつも隠れない不機嫌な気配に、言いたい事は山とあれど、撤退を余儀なくされる。
どうやら溜息がお気に召さなかったのだろうと見当は付くが、そもそもの不機嫌の理由には心当たりが無く、鬼島は眉を潜めて雑誌へ向き直ると、読んでるフリをしながら必死にこれ迄を振り返った。
今日の朝は、ホワイトデーとは男性が女性に菓子を贈る日ではなかったかと、なけなしの知識で鬼島は首を傾げていた。とは言え、鬼島に手作りのクッキーをくれたのは、義母の那津美と義妹の愛海である。何くれとなく心配をして世話を焼こうとする那津美から、何かに付けても付けなくても、差し入れをされる事は多々あるので、礼を言いながら受け取った。その量が若干多い気がしたが、クッキーを見る愛海の目の輝きで、理由は直ぐに理解した。元々、甘い物は得意で無い事も有り、食後のデザートとして活用される事が決まった瞬間である。
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QUÁ KHỨきじあまで怖い話風天生目のサモエドについての自己解釈が含まれます
野狗ねぇ。犬、飼ってたよね?
じゃあ、『誘い犬』って知ってる?
知らない?
……知ってた方がいいよ。教えてあげる。
夜、犬の鳴き声が聞こえて辺りを見渡すと、視界の端を犬が走って行く。
姿はよく見えないんだけど、飼ってる人は〝あ、うちの犬だ〟って分かるんだって。
それですぐに追いかけるけど、なかなか追いつかない。
ようやく追いつくと、どこをどう走ったのか。全く知らない場所にいて、辺りには誰一人いない。
〝早く連れて帰らないと〟
そう思って犬を見ると、飼い犬とは犬種どころか、大きさも違う。
おかしいと気付いた時にはもう遅くって、その犬に喉元食い千切られて、殺されちゃうんだって。
まあ、ただの都市伝説だけどね。
吉走寺駅前で、天生目はぼんやりと行き交う人々を流し見ていた。
3424じゃあ、『誘い犬』って知ってる?
知らない?
……知ってた方がいいよ。教えてあげる。
夜、犬の鳴き声が聞こえて辺りを見渡すと、視界の端を犬が走って行く。
姿はよく見えないんだけど、飼ってる人は〝あ、うちの犬だ〟って分かるんだって。
それですぐに追いかけるけど、なかなか追いつかない。
ようやく追いつくと、どこをどう走ったのか。全く知らない場所にいて、辺りには誰一人いない。
〝早く連れて帰らないと〟
そう思って犬を見ると、飼い犬とは犬種どころか、大きさも違う。
おかしいと気付いた時にはもう遅くって、その犬に喉元食い千切られて、殺されちゃうんだって。
まあ、ただの都市伝説だけどね。
吉走寺駅前で、天生目はぼんやりと行き交う人々を流し見ていた。
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QUÁ KHỨきじあまで好きと愛してるの違いとは好愛 一般的に休日は休みの日だが、天生目にとっては家業に関わる仕事を熟す仕事日である。まだ未成年なせいで、自分が起こした興行や情報収集だけでは有るが、使える組員に指示を出していくだけでも時間はあっという間に過ぎ去った。
今日も朝から働いて、一息ついでに親友の様子でも見に行こうかと、古く狭く汚いアパートの一室へ足を向けた。
「僕だよ、空良」
ドア越しに声を掛けると、天生目?、と呼ばれた後に、開いてるぞ、と声が続く。
「空良、こんなボロアパートとは言え、鍵も掛けないのはちょっと不用心じゃないのか? まぁ、キミなら泥棒の一人や二人、どうとでもなるんだろうけどさ」
遠慮無く上がりつつ、揶揄い混じりに小言を言うも、部屋の主人たる鬼島はテーブルに肘を突いて、何処か上の空で生返事をするだけだった。物珍しい親友の姿に、天生目が首を傾げる。
3070今日も朝から働いて、一息ついでに親友の様子でも見に行こうかと、古く狭く汚いアパートの一室へ足を向けた。
「僕だよ、空良」
ドア越しに声を掛けると、天生目?、と呼ばれた後に、開いてるぞ、と声が続く。
「空良、こんなボロアパートとは言え、鍵も掛けないのはちょっと不用心じゃないのか? まぁ、キミなら泥棒の一人や二人、どうとでもなるんだろうけどさ」
遠慮無く上がりつつ、揶揄い混じりに小言を言うも、部屋の主人たる鬼島はテーブルに肘を突いて、何処か上の空で生返事をするだけだった。物珍しい親友の姿に、天生目が首を傾げる。