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    PoisonOakUrushi

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    PoisonOakUrushi

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    きじあまでポッキー&プリッツの日

    #きじあま
    brownBear
    #鬼島空良
    onijimaKora
    #天生目聖司
    born-eyeSeiji
    #NG

    遊戯 いつもの様に遊びに来た天生目だったが、様子はいつもと違っていて、鬼島は軽く首を傾げた。隣に座りながらも何処かソワソワと落ち着きが無く、持ってきた菓子を咥えると、何か言いたそうに鬼島を伺う。しかし、止めては眉を顰めて、緑の菓子箱を睨む様に眺めながら食べ進めると言うのを繰り返していて、気付かないフリをし続けている鬼島ではあったが、実際は気になって仕方が無かった。
     家の仕事の事か、単に親父さんと喧嘩でもしたのか。聞いても良いのか、聞かない方が良いのか。
     心配が苛立ちに変わり始め、いい加減、殴ってでも白状させようか、と鬼島が思い始めたその矢先。
    「空良」
     緊張した様な強張った声で呼ばれ、顔を向ける。矢鱈と真剣な目をした天生目が真っ直ぐに鬼島を見ていた。
    「空良、コレ。咥えて」
     差し出されたのは細い棒状の菓子。さっき迄、ずっと天生目が食べている内の一本だった。
    「……は?」
     全く意味が分からず、鬼島から間の抜けた声が抜ける。だが、天生目の雰囲気と唯の菓子の合わなさに、実はヤバい菓子なんじゃないかと、鬼島の警戒心が先立った。
    「ほら、早く空良。食べるなよ」
     天生目は鬼島の警戒等、お構い無しに菓子を突き出す。咥えるまで終わらないと察した鬼島が、腹を括って口にするも、ほんのりとした塩気以外何も感じず、ホッと胸を撫で下ろした。さっさと食べてしまいたいが、食べるなよ、と言われた手前、仕方無しにそのままを維持する。
    「空良」
     固い表情の天生目の熱い眼差しに決意が垣間見えて、鬼島にも緊張が走る。
    「動くなよ」
     天生目が此方へと身を乗り出す。何をするのか皆目見当が付かず、目だけで動きを追い、距離の近さを疑問に思うと、天生目が不意に小さく口を開けて菓子の反対側を咥える。その仕草に鬼島の胸は高鳴り、思わず菓子を噛み砕いてしまい、2人の間を短くなった菓子が転げ落ちる。
     天生目は折れた菓子に残念そうな、安堵した様な、複雑な目を向けていたが、治らない鼓動に目を瞬かせる鬼島を見ると、漸くいつもの様に笑った。
    「ダメじゃないか、空良。動くなって言っただろ」
    「あ?」
     少しばかり詰る言い方の天生目に、鬼島が反射で不満の声を上げた。
    「もう少しできるかと思ったけど、あっという間だったね。君の負けで、僕の勝ちだ」
    「まて、何の話だ?」
     態とらしく肩を竦める天生目の言い分が分からずに、鬼島が問い掛けると一瞬気恥ずかし気な顔を見せるも、直ぐにいつもの人の悪い笑顔を作った。
    「何って、ゲームだよ。お互い両端から食べ始めて、最後まで食べた方が勝ちってやつ」
    「……はぁ?」
     事の全貌の下らなさに、鬼島が顔を顰める。
    「そんなくだらねぇゲームなんざ、知らねぇんだが」
    「今更何を言ってもムダだよ。君が負けて、勝ったのは僕」
     鬼島の眉間の皺が深くなる。ゲーム自体はどうでもいいが、何度も負けだと言われると、我慢ならないのが鬼島空良と言う男だった。
    「もっかいやるぞ。かまわねぇだろ」
     鬼島の宣言に、天生目はギョッとした様に目を見開いたが、菓子箱の中身を確認すると、体制を立て直して微笑んだ。
    「残念だけど、さっきのが最後の1本だったみたい」
     無言で天生目から箱を引ったくる。中は本当に空になっていて、鬼島が苛立ちを舌打ちに込めると、天生目は更に笑みを深めた。
     腹立ち紛れに箱を握り潰す。ゴミ箱まで捨てに行くのは億劫で、適当に机の上に放り出すと、側の畳に先程落とした菓子が転がっていた。短くなってしまったが、お互い一口分くらいは有りそうで、ゲームも何とか出来そうであった。
     逃げようとした天生目の顎を片手で鷲掴み捕らえると、閉じた口に無理矢理挟む。
    「動くなよ」
     鬼島は引き攣る天生目に、意地悪く笑いかけると、唇ごと菓子を喰みに行った。
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    PoisonOakUrushi

    PASTきじあまでホワイトデー
    我儘 ペラペラと捲る雑誌は格闘技の記事ばかり。そもそもが、そう言う雑誌だけを買っているのだから当たり前なのだが、求める答えやヒントの無さに、がっかりと溜息を溢す。
    「って」
     後頭部への軽い衝撃に振り向けば、ベッドの上を陣取る天生目に、蹴飛ばされたらしい。本で顔を隠しつつも隠れない不機嫌な気配に、言いたい事は山とあれど、撤退を余儀なくされる。
     どうやら溜息がお気に召さなかったのだろうと見当は付くが、そもそもの不機嫌の理由には心当たりが無く、鬼島は眉を潜めて雑誌へ向き直ると、読んでるフリをしながら必死にこれ迄を振り返った。
     今日の朝は、ホワイトデーとは男性が女性に菓子を贈る日ではなかったかと、なけなしの知識で鬼島は首を傾げていた。とは言え、鬼島に手作りのクッキーをくれたのは、義母の那津美と義妹の愛海である。何くれとなく心配をして世話を焼こうとする那津美から、何かに付けても付けなくても、差し入れをされる事は多々あるので、礼を言いながら受け取った。その量が若干多い気がしたが、クッキーを見る愛海の目の輝きで、理由は直ぐに理解した。元々、甘い物は得意で無い事も有り、食後のデザートとして活用される事が決まった瞬間である。
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