花月ゆき
DONE成功率33.3333…%。両片想いの赤安。ライとバーボンも少し出ます。捏造多いです。第9回お題「可愛い子」 赤井が降谷を本格的に口説きはじめたのは、組織の主要メンバーを逮捕した日の翌日からだった。
もちろん、いきなりホテルに誘ったりはしない。まずは食事からだと、降谷を昼食や夕食に誘うことにした。日本に滞在している食通のFBIの同僚から、おすすめの店はいくつも聞き出している。ネット上で評価が高い店もリサーチ済みだ。
いつかは朝食もともにできる関係になれればいい。そう願いながら、赤井は降谷のいる警察庁へと向かった。
「降谷君、今日の夜は空いているかな?」
彼を食事に誘うのは、これが初めてではない。しかし、親密な関係になりたいという明確な意志を以って誘ったのは、これが初めてだった。
普段通り話しかけたつもりだが、彼なりに何か違和感を覚えたのだろう。降谷はしばらく思案するような仕草をみせたあと、こう言った。
3920もちろん、いきなりホテルに誘ったりはしない。まずは食事からだと、降谷を昼食や夕食に誘うことにした。日本に滞在している食通のFBIの同僚から、おすすめの店はいくつも聞き出している。ネット上で評価が高い店もリサーチ済みだ。
いつかは朝食もともにできる関係になれればいい。そう願いながら、赤井は降谷のいる警察庁へと向かった。
「降谷君、今日の夜は空いているかな?」
彼を食事に誘うのは、これが初めてではない。しかし、親密な関係になりたいという明確な意志を以って誘ったのは、これが初めてだった。
普段通り話しかけたつもりだが、彼なりに何か違和感を覚えたのだろう。降谷はしばらく思案するような仕草をみせたあと、こう言った。
花月ゆき
DONEひょんなことから六畳一間のボロアパート(風呂なし)に住むことになった恋人同士の赤安。第8回お題「温泉」 思いがけない出来事というのは続くものである。
一つ目は、組織の人間を監視するために、しばらく地方に滞在することになったこと。
二つ目は、赤井が一緒についてきたこと。
三つ目は、滞在先のアパートが、築四~五十年は経っているかと思われる年季の入った木造アパートだったことだ。六畳一間、風呂はない。
部屋を用意したのは自分の部下だ。監視対象の人間が住むアパートと向かい合わせのアパートの一室を用意したとは聞いていたが、まさかここまで古ぼけたアパートだったとは。あたりを見渡しても、このアパートが一番監視しやすい位置にあるので、部下の判断は間違ってはいない。
しかし、こんなところに赤井を住まわせるわけにはいかないと降谷は思った。
3578一つ目は、組織の人間を監視するために、しばらく地方に滞在することになったこと。
二つ目は、赤井が一緒についてきたこと。
三つ目は、滞在先のアパートが、築四~五十年は経っているかと思われる年季の入った木造アパートだったことだ。六畳一間、風呂はない。
部屋を用意したのは自分の部下だ。監視対象の人間が住むアパートと向かい合わせのアパートの一室を用意したとは聞いていたが、まさかここまで古ぼけたアパートだったとは。あたりを見渡しても、このアパートが一番監視しやすい位置にあるので、部下の判断は間違ってはいない。
しかし、こんなところに赤井を住まわせるわけにはいかないと降谷は思った。
花月ゆき
DONEモブ♀が偶然見かけた赤安。モブ視点です。第7回お題「映画」 四月に入ったとはいえ、夜になるとまだまだ寒い。傘をさすほどではないが、小雨まで降ってきて気が滅入る。
午後二十三時過ぎ。残業を終えて疲れた身体にこの寒さは堪えるな、と思いながら、施錠して会社を出た。
会社の前にある大きな横断歩道を渡り、ひとけの少ない道を歩く。そこで、どこからか人のうめき声のようなものが聞こえてきた。近くに具合の悪い人でもいるのだろうか。声の聞こえてきた方向へ歩き出し、あたりを見渡すと、路地裏に二人の男性がいた。
ひとりは金髪の男性で、腕を怪我しているようだった。うめき声の主は彼だろう。
もうひとりは黒髪の男性で、金髪の男性の腕にタオルを巻きつけている。止血とはいえ、傷口を押さえらえると痛みが強く出るのだろう。金髪の男性は苦しそうに息をついていた。
2758午後二十三時過ぎ。残業を終えて疲れた身体にこの寒さは堪えるな、と思いながら、施錠して会社を出た。
会社の前にある大きな横断歩道を渡り、ひとけの少ない道を歩く。そこで、どこからか人のうめき声のようなものが聞こえてきた。近くに具合の悪い人でもいるのだろうか。声の聞こえてきた方向へ歩き出し、あたりを見渡すと、路地裏に二人の男性がいた。
ひとりは金髪の男性で、腕を怪我しているようだった。うめき声の主は彼だろう。
もうひとりは黒髪の男性で、金髪の男性の腕にタオルを巻きつけている。止血とはいえ、傷口を押さえらえると痛みが強く出るのだろう。金髪の男性は苦しそうに息をついていた。
花月ゆき
DONE両片想いの赤安。嗅覚が鋭くなったれいくんと、禁煙するあかいさん。第6回お題「自覚」 桜の花が散りはじめ、地面が薄桃で彩られる頃。
現場で赤井と顔を合わせるなり、降谷は開口一番にこう言ってきた。
「ここに来る直前、煙草を吸ってきたでしょう」
降谷に会う前、あるいは一緒に行動している最中にも煙草を吸うことは頻繁にあるのだが、なぜか今日に限って降谷は言及してきた。
煙草の銘柄も変えていないので匂いも変わっていないはずだが、いつになく降谷は顔を顰めている。そこまでひどく匂うのだろうか。
「ああ。……匂うか?」
問うと、降谷は軽く鼻をつまみながら言った。
「先日、組織の薬品庫に行ったあたりからなんだか変なんですよね。匂いに敏感になったというか……」
組織の薬品庫に行ったのは、一週間ほど前のことだ。ただ匂いに過敏になっているだけなのか。それとも、降谷の身体に何か異変でも起きているのか。
2808現場で赤井と顔を合わせるなり、降谷は開口一番にこう言ってきた。
「ここに来る直前、煙草を吸ってきたでしょう」
降谷に会う前、あるいは一緒に行動している最中にも煙草を吸うことは頻繁にあるのだが、なぜか今日に限って降谷は言及してきた。
煙草の銘柄も変えていないので匂いも変わっていないはずだが、いつになく降谷は顔を顰めている。そこまでひどく匂うのだろうか。
「ああ。……匂うか?」
問うと、降谷は軽く鼻をつまみながら言った。
「先日、組織の薬品庫に行ったあたりからなんだか変なんですよね。匂いに敏感になったというか……」
組織の薬品庫に行ったのは、一週間ほど前のことだ。ただ匂いに過敏になっているだけなのか。それとも、降谷の身体に何か異変でも起きているのか。
花月ゆき
DONE魔法が使えるようになったあかいさん。恋人同士の赤安。
第5回お題「エイプリルフール」 四月一日、朝。
警察庁の駐車場に愛車を停めてすぐ、目の前に赤井がいることに降谷は気がついた。車を停める前に赤井の存在に気づいていなかったので、降谷は少し驚く。
今日は警察庁でFBIのメンバーと会議をすることになっているので、赤井がここにいるのは不思議なことではない。しかし、いつもの赤井の雰囲気とどこか違うような気がした。
愛車から降りて、降谷は赤井の前に立つ。会議室ではなく駐車場で自分を待っていたということは、自分だけに何か伝えたいことがあるのかもしれない。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
外の空気は春らしい暖かさと心地よさがある。道沿いにある桜の木は、薄桃色の花びらを散らして、周囲を優しい色で包んでいた。
2586警察庁の駐車場に愛車を停めてすぐ、目の前に赤井がいることに降谷は気がついた。車を停める前に赤井の存在に気づいていなかったので、降谷は少し驚く。
今日は警察庁でFBIのメンバーと会議をすることになっているので、赤井がここにいるのは不思議なことではない。しかし、いつもの赤井の雰囲気とどこか違うような気がした。
愛車から降りて、降谷は赤井の前に立つ。会議室ではなく駐車場で自分を待っていたということは、自分だけに何か伝えたいことがあるのかもしれない。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
外の空気は春らしい暖かさと心地よさがある。道沿いにある桜の木は、薄桃色の花びらを散らして、周囲を優しい色で包んでいた。
花月ゆき
DONE「もし君が俺を受け入れてくれるなら……来週、二十二日の夜十時、一年前に君と一緒に見た桜の木の下へ来てほしい」鈍いれいくん。赤→安っぽい話。ハッピーエンドです。
第4回お題「桜」 一年前の春。
桜の木の下で笑う彼に、恋をした。いや、正確には“恋を自覚した”というべきか。
時は、組織の主要メンバーを逮捕した日の夜に遡る。
現場から少し離れた駐車場の片隅には、大きな桜の木があった。駐車場には救急車や消防車などの緊急車両や警察車両などがひしめき合っていて、けっして情緒ある雰囲気とはいえない。
しかし、桜の木の下へ来てみれば、そこは別世界だった。
頭上から降り注ぐ月の光がこちらを照らしていて、薄桃色の花びらがひらひらと宙を舞っているのが見える。しばらく散ってゆく花びらをぼんやりと眺めていると、ふと、よく知る人物の気配を感じて、赤井は視線を移した。
そこには、怪我の治療を終えた降谷がいた。彼は緑茶のペットボトルを二本持っている。今、彼がここにいるということは、腕の怪我は重症ではなかったのだろう。彼の腕に巻かれた包帯を痛々しく思いながらも、赤井は安堵する。
3947桜の木の下で笑う彼に、恋をした。いや、正確には“恋を自覚した”というべきか。
時は、組織の主要メンバーを逮捕した日の夜に遡る。
現場から少し離れた駐車場の片隅には、大きな桜の木があった。駐車場には救急車や消防車などの緊急車両や警察車両などがひしめき合っていて、けっして情緒ある雰囲気とはいえない。
しかし、桜の木の下へ来てみれば、そこは別世界だった。
頭上から降り注ぐ月の光がこちらを照らしていて、薄桃色の花びらがひらひらと宙を舞っているのが見える。しばらく散ってゆく花びらをぼんやりと眺めていると、ふと、よく知る人物の気配を感じて、赤井は視線を移した。
そこには、怪我の治療を終えた降谷がいた。彼は緑茶のペットボトルを二本持っている。今、彼がここにいるということは、腕の怪我は重症ではなかったのだろう。彼の腕に巻かれた包帯を痛々しく思いながらも、赤井は安堵する。
花月ゆき
DONE組織壊滅作戦後、とあるウイスキーを一緒に飲もうと約束していた恋人同士の赤安。しかし作戦後、二人は別れることになり…※モブキャラ出ます ※ハッピーエンドです
第3回お題「ウイスキー」 組織壊滅作戦前の最後の休日。赤井に呼ばれて降谷が訪れた場所は、ホテルのスイートルームだった。
赤井とはいわゆる恋人同士である。しかし、周囲に明かすことのできない秘密の関係だった。
恋人として接することができるのは、ふたりきりのときだけ。
次にふたりきりで過ごせるのは、いつになるかわからない。だからこそ、赤井はこうして特別な部屋を用意してくれたのだろう。
降谷は緊張しながら部屋へと入った。ふと、部屋の中心にあるテーブルに、視線が止まる。テーブルの上にはウイスキーのボトルが一本、佇んでいた。
これは? と目で問いかけると、赤井は微笑んで言う。
「作戦を終えたら、君と一緒に飲もうと思ってね。取り寄せたんだよ」
3906赤井とはいわゆる恋人同士である。しかし、周囲に明かすことのできない秘密の関係だった。
恋人として接することができるのは、ふたりきりのときだけ。
次にふたりきりで過ごせるのは、いつになるかわからない。だからこそ、赤井はこうして特別な部屋を用意してくれたのだろう。
降谷は緊張しながら部屋へと入った。ふと、部屋の中心にあるテーブルに、視線が止まる。テーブルの上にはウイスキーのボトルが一本、佇んでいた。
これは? と目で問いかけると、赤井は微笑んで言う。
「作戦を終えたら、君と一緒に飲もうと思ってね。取り寄せたんだよ」
花月ゆき
DONE両片想い状態の赤安。n番煎じネタです。薔薇の花99本=永遠の愛。
一口サイズのチョコ=チ〇ルチョコです。
第2回お題「ホワイトデー」 三月十四日、金曜日。
人のいない休憩室で、降谷は自販機で買ったホットカフェオレをこくこくと静かに飲んでいた。
ふと、壁にかけられているカレンダーに目が留まる。今日の日付には、「ホワイトデー」の文字。いったい誰が書き足したのか、その文字は♡マークで囲まれている。きっと、ホワイトデーを心待ちにしている人間が描いたのだろう。チョコを贈った相手からどんな返事があるのか。♡を描いたその人物は、今頃胸を高鳴らせているに違いない。
降谷は少し羨ましくなった。
ホワイトデーは、自分にとってはまったく縁のない日だ。まず、バレンタインデーに片想いの相手にチョコを贈っていない。いや、正確には、“それとわかる形で”チョコを贈っていないというべきか。
2786人のいない休憩室で、降谷は自販機で買ったホットカフェオレをこくこくと静かに飲んでいた。
ふと、壁にかけられているカレンダーに目が留まる。今日の日付には、「ホワイトデー」の文字。いったい誰が書き足したのか、その文字は♡マークで囲まれている。きっと、ホワイトデーを心待ちにしている人間が描いたのだろう。チョコを贈った相手からどんな返事があるのか。♡を描いたその人物は、今頃胸を高鳴らせているに違いない。
降谷は少し羨ましくなった。
ホワイトデーは、自分にとってはまったく縁のない日だ。まず、バレンタインデーに片想いの相手にチョコを贈っていない。いや、正確には、“それとわかる形で”チョコを贈っていないというべきか。
花月ゆき
DONE赤安のファーストキス(?)のお話。第1回お題「困った子」 降谷と交際をはじめて二週間になる。
恋人同士になった日から今日まで、赤井が降谷と二人きりになれる時間はまったくといっていいほどなかった。仮眠をとるとき以外は、常に職場の仲間、あるいは各国の捜査機関のメンバーと一緒だったからだ。
そんな慌ただしい日々の最中。プライベートな場所ではないが、警察庁の会議室で、偶然にも赤井は降谷と二人きりになることができた。会議を終えたあと、降谷と二人で今後の打ち合わせをしている間、会議室にいた人間がすべて持ち場に戻って行ったからだ。
窓辺からは夕陽が差し込み、降谷の美しい髪をきらきらと反射させている。思わずその髪に手を伸ばすと、降谷は子どものようにあどけない表情で、「どうかしたんですか?」と問うてきた。
1168恋人同士になった日から今日まで、赤井が降谷と二人きりになれる時間はまったくといっていいほどなかった。仮眠をとるとき以外は、常に職場の仲間、あるいは各国の捜査機関のメンバーと一緒だったからだ。
そんな慌ただしい日々の最中。プライベートな場所ではないが、警察庁の会議室で、偶然にも赤井は降谷と二人きりになることができた。会議を終えたあと、降谷と二人で今後の打ち合わせをしている間、会議室にいた人間がすべて持ち場に戻って行ったからだ。
窓辺からは夕陽が差し込み、降谷の美しい髪をきらきらと反射させている。思わずその髪に手を伸ばすと、降谷は子どものようにあどけない表情で、「どうかしたんですか?」と問うてきた。