60_chu
DONEお料理教室のイベントの前に書いていたのですが、今出しておかないともう公開するタイミングがなさそうなので。東の国の役人とネロの話。
異端者のクリシェ 鏡の前でリボンタイを締める。襟を正して眼鏡を拭いて、皺一つないベストに糊のきいたワイシャツ。袖にアームカバーを嵌めて文机の前に座る。机がずらりと並んだ狭い部屋には紙の束とインクと熔けた蝋の匂い。声を落として話す人々。羽ペンが紙を走る音。文机はいつも判子をつくたびにかくんと揺れた。書類が陽に焼けないように小さく設えられた窓のおかげで建物の中はいつも薄暗い。それでもわたしはこの明るい闇の中にある秩序を好んでいる。いや、愛していると言っても差し支えないだろう。私はずり下がった眼鏡を鼻に押し上げると、次の方と人差し指を掲げながら呼びかけた。
床板を軋ませながら私の目の前に現れたのは、鶲のように薄青い髪をした青年だった。私が椅子を勧めると青年は目礼をしてから席に着いた。
7365床板を軋ませながら私の目の前に現れたのは、鶲のように薄青い髪をした青年だった。私が椅子を勧めると青年は目礼をしてから席に着いた。
zero_fai03
PROGRESS本にする予定の一部です。今絶賛修羅場なので、気合いいれるために投稿します。。
※1 現パロです。
※2 ブラネロ&フィガファウ(どちらも破局)前提のネロファウ(描写無し予定)です。
問題ない方のみどうぞ。 5966
リピン
DOODLEネルフェス2024 まほステレポネロ、東保護者周り
まほステのステージめちゃめちゃ良かったです
ここには書かなかったけど賢者様が本当に歌も表情も良くて初見の人にいい印象与えただろうと思った
ネロの康晴くんはミラステの康太くんもすごくキラキラしててよかったです。本当は描きたいけど時間がなく…
nxxmayoxx
DONE画像で読めない人用。Re:construction 全部を上手に無傷で始末出来たら、誰にも彼にも褒められた。賞賛、喝采、歓声。中でも兄からの激励はこれ以上ない幸福だった。地下深い箱庭の中で一番上手に何でもできる兄が、ボクのことだけは出来の良さを声に出して評価してくれる。その瞬間だけは同じ母体から産まれた個体であることを誇って良い気がして、世界全てが手の中に収まったような心地だった。自分と兄だけがその世界には立っていて、兄からの賛美は全部ボクだけのものだった。
だけど少しずつ、少しずつ、美しかった二人だけの楽園が侵食された。被験体が数を増やしていくうちに、突出した才も現れた。有象無象だったものに色が付けられて、見たくもないのに他とは違う確かな輪郭を認識させられる。自分と近しいところへ迫ってくる影に、半ば無意識に怯えている。兄もまたそれらを目にして、あろうことか笑うのだ。役に立ちそうだと笑うのだ。一目置いている、置かれているのか。兄からの褒め言葉を受け取っている者がいるのか。ひやりと背筋を伝った不安はある日、確かに聞こえた声で確定する。いるのだ。ボク以外にも。
1489だけど少しずつ、少しずつ、美しかった二人だけの楽園が侵食された。被験体が数を増やしていくうちに、突出した才も現れた。有象無象だったものに色が付けられて、見たくもないのに他とは違う確かな輪郭を認識させられる。自分と近しいところへ迫ってくる影に、半ば無意識に怯えている。兄もまたそれらを目にして、あろうことか笑うのだ。役に立ちそうだと笑うのだ。一目置いている、置かれているのか。兄からの褒め言葉を受け取っている者がいるのか。ひやりと背筋を伝った不安はある日、確かに聞こえた声で確定する。いるのだ。ボク以外にも。
moyu_mochi
DONEファウネロwebオンリー「不器用なぬくもりを紡いで」開催おめでとうございますバレンタインデーのお話
といっても疲労に負けちゃってますけどネロが……
パスワードはお品書きに書いてあります 5
moyu_mochi
DONE2021年9月19日に開催された賢者のマナスポット3にて頒布されました『シュガーポットにアイを集めて』に寄稿させて頂いた作品です。ネロの腹痛のお話
シュガーの加護ぐぎゅるぎゅる……
皆が寝静まった微睡みの中、唐突走った腹痛に飛び起きた。ぎゅうっと締め付けられる感覚に耐えられるはずもなく慌ててトイレに駆け込んだ。
……これで治まってくれたらいいものの治まる気配もなくトイレと寝具の往復をふらふらと何度も繰り返している。これじゃ寝れねぇじゃねぇか……朝飯作る時間まで数刻あるものの体を休めたくても休めれないのはどうにも苦しい。
ぎゅるるっ
くっそ……治まることのない腹痛のおかげでそろそろ動かないと朝飯の時間に間に合わない。早起きの鍛錬組を待たせちまうのはもう確定かもな……
《アドノディス•オムニス》
気休めで作ったシュガーを口に放り込む。しゅわぁと溶ける感覚に少しだけ楽になる錯覚を得た。
3942皆が寝静まった微睡みの中、唐突走った腹痛に飛び起きた。ぎゅうっと締め付けられる感覚に耐えられるはずもなく慌ててトイレに駆け込んだ。
……これで治まってくれたらいいものの治まる気配もなくトイレと寝具の往復をふらふらと何度も繰り返している。これじゃ寝れねぇじゃねぇか……朝飯作る時間まで数刻あるものの体を休めたくても休めれないのはどうにも苦しい。
ぎゅるるっ
くっそ……治まることのない腹痛のおかげでそろそろ動かないと朝飯の時間に間に合わない。早起きの鍛錬組を待たせちまうのはもう確定かもな……
《アドノディス•オムニス》
気休めで作ったシュガーを口に放り込む。しゅわぁと溶ける感覚に少しだけ楽になる錯覚を得た。
近衛 無花果
DONE「シー・ローバー・スクアーマ」より、奴隷船で売られていたネロが晶に買われて価値を与えられる話。晶がとっくの昔にムルに拾われて世界救済が済んでいた世界線の海軍ifです。
羽を並べて 彗星が空に走る。奴隷船から見上げた空を自由に、しかしこの星に引かれて否応なく落ちてくる。
天から星が落ちて数日、ネロの首に刻まれた紋章は色を失った。「能なし」の証でも、奴隷としては稀有な見た目と価値を見出されていたのに、とうとう本当に何も価値のないスクアーマになってしまった。
ネロはハート大将の執務室にぼっと立ち尽くして目の前の人物を観察した。「能なし」のネロを買った、人間でもスクアーマでもない天使様と呼ばれる人。雲居のその果てから来た救世主。名を晶という。
「一目見て懐かしいなと思ってしまって、つい」
「一目惚れなんて、天使様はその名に恥じないロマンチストだね!」
「そ、そういうわけでは」
「この髪色が原因ではないかの? ほれ、薄汚れていた時は微妙じゃったが、今は見事な天つ世の色じゃ」
5290天から星が落ちて数日、ネロの首に刻まれた紋章は色を失った。「能なし」の証でも、奴隷としては稀有な見た目と価値を見出されていたのに、とうとう本当に何も価値のないスクアーマになってしまった。
ネロはハート大将の執務室にぼっと立ち尽くして目の前の人物を観察した。「能なし」のネロを買った、人間でもスクアーマでもない天使様と呼ばれる人。雲居のその果てから来た救世主。名を晶という。
「一目見て懐かしいなと思ってしまって、つい」
「一目惚れなんて、天使様はその名に恥じないロマンチストだね!」
「そ、そういうわけでは」
「この髪色が原因ではないかの? ほれ、薄汚れていた時は微妙じゃったが、今は見事な天つ世の色じゃ」